デキムス・ユニウス・ブルトゥス・カッライクス

デキムス・ユニウス・ブルトゥス・カッライクス

デキムス・ユニウス・ブルトゥス・カッライクス（ラテン語: Decimus Junius Brutus Callaicus、紀元前180年頃 - 紀元前113年頃）は、共和政ローマのプレブス出身の元老院議員であり、傑出した政治家、軍人です。

経歴

ブルトゥスは、その政治キャリアにおいて重要な地位を歴任しました。遅くとも紀元前141年までにはプラエトル（法務官）を経験したと考えられています。紀元前138年には、プブリウス・コルネリウス・スキピオ・ナシカ・セラピオと共に執政官（コンスル）に選出されました。キケロによれば、彼らは元老院から殺人事件の調査を命じられています。

ブルトゥスの名声を確立したのは、ルシタニア戦争における功績でした。ウィリアトゥスの死後、彼の下で戦った兵士たちにウァレンティアの地を与えたとされています。さらに、政治的に空白地帯となっていたヒスパニア西部へ兵を進め、現地民の反抗勢力を打ち破りました。オリッシポ（現在のリスボン）を築いて城砦とし、途上の村落を殲滅しながら北上。彼の軍はドウロ川を越え、紀元前137年にはリマ川にまで到達し、ストラボンの記述によれば、ミーニョ川にまで到達したとされています。この遠征により、ローマはリマ川とミーニョ川に挟まれた地域を制圧することに成功しました。

これらの軍事的な成功は、イベリア半島西部とガリシア地方の治安を安定させ、ローマの支配を確立する上で重要な役割を果たしました。本格的な属州となるのは後のアウグストゥスの治世を待つ必要がありましたが、この地域のローマ化を大きく進展させました。

元老院は彼の功績を称え、「カッライクス（ガッラエキアを制圧した者）」の称号を授与しました。エウトロピウスは、ブルトゥスがガッラエキ族とルシタニア人に対する勝利を収め、凱旋式を挙行したと記録しています。アッティリオ・デグラッシは、この凱旋式を紀元前133年の出来事と推定しています。

紀元前129年には、執政官ガイウス・センプロニウス・トゥディタヌスの下でイアピデス人との戦いで活躍しました。また、時期は不明ながら、紀元前129年以前にアウグル（鳥卜官）に就任していたと考えられています。

家族

息子：デキムス・ユニウス・ブルトゥス (紀元前77年の執政官)
孫：デキムス・ユニウス・ブルトゥス・アルビヌス - ガイウス・ユリウス・カエサルの部下として活躍し、カエサル暗殺に関与しました。

参考文献

T. R. S. Broughton (1951, 1986). The Magistrates of the Roman Republic Vol.1. American Philological Association
T. R. S. Broughton (1952). The Magistrates of the Roman Republic Vol.2. American Philological Association

関連項目

共和政ローマ執政官一覧
共和政ローマ鳥卜官一覧
* 凱旋式のファスティ

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