デビッド・プライス・レーシング

デビッド・プライス・レーシング：輝かしい歴史と数々の挑戦

デビッド・プライス・レーシング(DPR)は、1976年にデビッド・プライスによって設立されたイギリスのレーシングチームです。フォーミュラカーからスポーツカーまで、幅広いカテゴリーで活躍し、モータースポーツ史に名を刻む数々の成功と挑戦を経験しました。

シングルシーター時代：若き才能の発掘

1970年代後半から、DPRはイギリスF3選手権やオーロラF1など、イギリス国内のシングルシーターレースに参戦。ナイジェル・マンセル、マーティン・ブランドル、ジョニー・ダンフリーズといった、後にF1で活躍するドライバーたちが、DPRで経験を積み、才能を開花させました。1982年にはフランスF3選手権でタイトルを獲得、1984年にはイギリスF3タイトルも手にしています。フランスF3では、ポール・ベルモンド、ファビエン・ジロイ、フランソワ・エスノーといったドライバーがDPRに所属し、活躍しました。さらに、当時人気絶頂だったポップデュオ、ワム！のアンドリュー・リッジリーも1986年にスポット参戦したという興味深いエピソードも残されています。

スポーツカーレースへの転身と成功

1987年、デビッド・プライスはスポーツカーレースへと活動の場を移し、リチャード・ロイド・レーシングのチームマネージャーに就任。その後ザウバー-メルセデス、NISMOヨーロッパといった名門チームに携わり、世界スポーツカー選手権(WSPC)やル・マン24時間レースでの勝利に貢献します。1991年にはF1チームブラバムのレースディレクターも務めるなど、その手腕は高く評価されました。

DPRの復活とGTレースでの活躍

1995年、デビッド・プライス・レーシングとしてレース活動に復帰。BPRグローバルGTシリーズに参戦し、マクラーレン・F1 GTRで参戦初年度にチーム、ドライバーの両チャンピオンシップを獲得するという快挙を成し遂げました。同年ル・マン24時間レースでは総合3位を獲得。1996年にはBPRグローバルGTシリーズでランキング3位、ル・マン24時間レースでは総合4位と6位という結果を残しています。1997年にはFIA GT選手権に参戦。パノスのファクトリーチームとして、アメリカ拠点のチームをサポートするなど、グローバルな活動も展開しました。1998年にはル・マン24時間レースの予選で、世界初のハイブリッドカーであるパノス・GTR-1ハイブリッドを走らせるという、先進的な挑戦も行っています。1999年はBMW・V12 LMでル・マン24時間レースに参戦し、総合5位を獲得。2000年には再びパノスと提携し、アメリカン・ル・マン・シリーズやル・マン24時間レースをサポートしました。

新たな挑戦とチームの変遷

2001年はレース活動を休止し、2002年にはMGのXPower SVの開発支援など、開発面での活動も行っています。2004年にはフォーミュラ・ルノーV6ユーロカップシリーズに参戦し、再びシングルシーターカーを走らせました。2005年にはGP2シリーズに参戦。オリヴィエ・プラが2レースで勝利を収めるなど、高い競争力を示しました。2006年には日本のディレクシブと提携し、チーム名をDPR・ディレクシブに変更してGP2シリーズに参戦。2007年にはチーム名を元のデビッド・プライス・レーシングに戻しました。2005年から2006年には、A1グランプリのA1チームUSAのチーム運営も行っていました。2009年4月にチームは売却されましたが、2010年までデビッド・プライス・レーシングの名前でGP2およびGP2アジアシリーズでレースを続行しました。

デビッド・プライスとその後

チーム売却後も、デビッド・プライスはモータースポーツ界で活動を続け、2013年からはデルタウイングのプロジェクトに関わっています。

デビッド・プライス・レーシングは、その歴史の中で数々の名ドライバーを育成し、革新的な技術に挑戦し、モータースポーツ界に大きな足跡を残しました。その挑戦の歴史は、未来のレーシングチームにとっても貴重な遺産となるでしょう。

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