デ・ハビランド ジャイロン・ジュニア

デ・ハビランド ジャイロン・ジュニア

デ・ハビランド ジャイロン・ジュニア（de Havilland Gyron Junior）は、1950年代にイギリスのデ・ハビランド社によって開発された軍用ターボジェットエンジンです。このエンジンは、より大きなデ・ハビランド ジャイロンの縮小版として設計され、最終的にはブリストル・シドレーによって製造されました。

設計及び開発

ジャイロン・ジュニアは、製造数はジャイロンよりもやや多かったものの、イギリス海軍の双発攻撃機ブラックバーン バッカニア S.1のエンジンとして主に使用されました。しかし、その実績は芳しくなく、エンジンの出力が不足しているとされました。そのため、後続のバッカニア S.2では、よりパワフルなロールス・ロイス スペイが選ばれることとなります。

また、アフターバーナー搭載のジャイロン・ジュニアは、超音速実験機ブリストル 188にも使用されました。本来であればロールス・ロイス エイヴォンも考慮されていましたが、結局ジャイロン・ジュニアのみが運用されることになりました。この計画は完全に失敗したわけではありませんが、不満足な結果をもたらし、予定していた高速・高温での試験は実施されずに中止されました。

問題となったのは、ジャイロン・ジュニアの燃料消費率です。マッハ2に達することは可能だったものの、燃料消費が非常に悪く、長時間の飛行ができないため、超音速機のために予定されていた長期サーマル・ソーキング試験は行うことができませんでした。ただし、同時期に使用された他のエンジンと組み合わせた場合でも、果たしてより良い結果が得られたかは疑問の余地があります。

バリエーション

• - ジャイロン・ジュニア DGJ.1（P.S.43）：ブラックバーン バッカニア S.1用
• - ジャイロン・ジュニア DGJ.10R（P.S.50）：アフターバーナー付き、推力14,000 lb s.t. (62.3 kN)、ブリストル 188用

使用機種

• - ブラックバーン バッカニア S.1：40機製造
• - ブリストル 188：2機製造
• - グロスター ジャベリン：試験用のみ、FAW Mk.1改良
• - サンダース・ロー SR.177：採用予定だったが製造されず

展示

現在、デ・ハビランド ジャイロン・ジュニアはデ・ハビランド航空博物館（de Havilland Aircraft Heritage Centre）にて展示されています。

仕様 (Gyron Junior DGJ.1)

• - 形式: ターボジェット
• - 全長: 102.9 in (2.61 m)
• - 直径: 41.1 in (1.04 m)

コンポーネント

• - 圧縮機: 7段軸流
• - 燃焼器: 分割タイプ13基
• - タービン: 2段

性能

• - 推力: 7,100 lb s.t. (31.6 kN)
• - 総圧縮比: 6.4:1
• - タービン入口部温度: 1,200 °C

デ・ハビランド ジャイロン・ジュニアは、その設計段階から注目されたエンジンではありましたが、最終的には高い性能とは言い難い結果に終わり、その後の技術開発に影響を与えた事例でもあります。

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