ロールス・ロイス スペイ

RB.168 スペイエンジンについて

RB.168 スペイ（英語：RB.168 Spey）は、ロールス・ロイスが製造した低バイパスターボファンエンジンです。このエンジンは、1950年代末に民間航空機向けに開発され、40年以上にわたりさまざまな航空機や船舶で使用されてきました。また、名称はロールス・ロイスの伝統に従い、スコットランドのスペイ川に由来しています。スペイエンジンは、軍用機や船舶用途にも転用されるなど、多様な進化を遂げました。

設計と開発

ロールス・ロイスは1954年に初の商業用バイパスエンジンである「ロールス・ロイス コンウェイ」を推力21,000ポンド（約94 kN）で販売開始しましたが、これは当時の最大出力を誇るエンジンでありました。その後、シュド・カラベルやBAC 1-11、ホーカー・シドレー トライデントなどの小型機には大きすぎることから、より小型で適切なエンジンの開発が必要でした。これに応じて、RB.163が開発され、バイパス比は0.64:1という仕様となりました。

1964年に運用が開始されたRB.163は、BAC 1-11やトライデント機に搭載されました。このエンジンは1960年代を通じていくつかのより強力なバージョンが登場し、さらに多くの機体に採用されましたが、1970年代には新たなバイパス比の大きいターボファンエンジンの登場により、その民間機としての役割は終了しました。それでも、スペイエンジンは1980年代までヨーロッパの多くの空港で運用され続け、その影響は広範囲に及びました。

その一方で、船舶用の導入は当初の予想よりも伸び悩みました。特に、日本の川崎重工業がライセンス生産を手がけた際、改善提案の交渉が難航したため、2012年12月にはその事業権が譲渡され、国産化が100％実現しました。

スペイを搭載した航空機

RB.168 スペイは、世界中でさまざまな航空機および艦船に搭載されました。代表的な航空機に関してまとめると以下のようになります。

アメリカ合衆国

• - グラマン ガルフストリーム II
• - グラマン ガルフストリーム III
• - A-7D/E コルセアII（アリソン TF41×1基）

イギリス

• - BAC 1-11
• - ブラックバーン バッカニア（Mk.101×2基）
• - ファントムFG.1/FGR.2（Mk.202×2基）
• - BAE ニムロッド（Mk.250×4基）

中華人民共和国

• - JH-7（Mk.202×2基）

ブラジル／イタリア

• - AMX（Mk.807×1基）

オランダ

• - フォッカー F28

船舶への搭載

RB.168 スペイは多くの艦船にも搭載されており、特にCODOG方式やCOGAG方式を採用した護衛艦やフリゲート艦などで使用されました。以下のような艦船に搭載されている例があります：

• - あぶくま型護衛艦
• - あきづき型護衛艦（2代目）
• - ましゅう型補給艦

このようにRB.168 スペイは、民間航空機、軍用機、また船舶と、幅広い用途へ対応可能な能力を持ち、その運用は現在も続いています。

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