トマス・タウンゼンド (初代シドニー子爵)

初代シドニー子爵トマス・タウンゼンド

初代シドニー子爵トマス・タウンゼンド（1733年2月24日 - 1800年6月30日）は、18世紀のイギリスにおいて、ホイッグ党に所属し、重要な役割を果たした政治家、そして貴族でした。彼は内務大臣（1782年 - 1783年、1783年 - 1789年）や貿易・拓殖委員会会長（1784年 - 1786年）といった要職を歴任し、その政治手腕を発揮しました。

生涯

初期の経歴

1733年に生まれたタウンゼンドは、イートン・カレッジで教育を受けた後、ケンブリッジ大学クレア・カレッジに進学し、修士号を取得しました。彼の家系はホイッグ党を支持しており、彼自身もその影響を受けて政界に進むことになります。

政界入り

1754年、タウンゼンドはウィットチャーチ選挙区から出馬し、見事当選を果たして政界入りを果たしました。彼はホイッグ党の一員として、王太子ジョージ（後のジョージ3世）の家政部門で秘書職を務めるなど、着実にキャリアを積み重ねていきました。しかし、政局の変化により解任されるなど、苦難も経験しました。

下級大蔵卿と陸軍支払長官として

一時野党の立場にあったタウンゼンドですが、第1次ロッキンガム侯爵内閣で下級大蔵卿に就任し、再び政権の一翼を担うことになります。彼は政府の米州植民地政策を支持し、財務大臣を擁護するなど、与党としての役割を果たしました。その後、陸軍支払長官に任命されますが、閣内での不和により辞任し、再び野党に戻ります。

野党期から小ピット内閣成立まで

野党時代には、ジョン・ウィルクスの議員解任に反対したり、「国王の友」を批判するなど、政府の方針に異を唱えました。アメリカ独立戦争についても、ノース卿の戦争遂行を批判するなど、独自の政治的立場を貫きました。そして、1782年に第2次ロッキンガム侯爵内閣が成立すると、戦時大臣として入閣を果たします。

しかし、ロッキンガム侯爵の死後、内閣は分裂し、タウンゼンドはシェルバーン派に属しました。シェルバーン伯爵内閣では内務大臣に就任し、アメリカ独立戦争の講和問題に取り組みましたが、政局の混乱により内閣は倒れました。その後、ジョージ3世の目に留まり、シドニー男爵に叙せられます。

小ピット内閣の閣僚として

フォックス＝ノース連立内閣を批判したタウンゼンドは、小ピット内閣で内務大臣として再入閣を果たします。しかし、貴族院での活動は精彩を欠き、その再任には疑問の声も上がりました。彼は東インド法案に反対したり、奴隷規制法案に反対するなど、小ピットとの間に不和が生じ、1789年に辞任しました。辞任後、シドニー子爵に叙せられ、南トレント巡回裁判官に任命されるなど、名誉ある地位を与えられました。

1800年、タウンゼンドは自領で卒中を起こして急死し、その生涯を閉じました。

植民地への影響

タウンゼンドは、内務大臣としてニューサウスウェールズ（現在のオーストラリアの州）における植民地建設計画を強く支持しました。その功績を称え、ニューサウスウェールズ州の州都は、彼の名にちなんでシドニーと名付けられました。また、カナダのノバスコシア州にあるシドニーも、彼にちなんで名付けられています。

家族

1760年、エリザベス・ポウィスと結婚し、3男4女をもうけました。娘のメアリー・エリザベスは、第2代チャタム伯爵ジョン・ピットと結婚しています。

トマス・タウンゼンド、初代シドニー子爵は、激動の時代を生きた政治家として、そして植民地建設に貢献した人物として、歴史にその名を刻んでいます。

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