トマス・L・クリッテンデン

トマス・レオニダス・クリッテンデン（1819年5月15日 - 1893年10月23日）は、アメリカ合衆国の弁護士、政治家であり、南北戦争においては北軍の将軍として重要な役割を果たしました。彼の生涯は、政治と軍事の両面においてアメリカの歴史に深く刻まれています。

初期の経歴

クリッテンデンはケンタッキー州ラッセルビルで、著名な政治家であるジョン・J・クリッテンデン上院議員の息子として生まれました。彼の家族は、南北戦争という国家的な分裂の中で、複雑な立場を経験することになります。兄のジョージ・B・クリッテンデンは南軍の将軍となり、従兄弟のトマス・ターピン・クリッテンデンは北軍の将軍として活躍しました。また、父の後妻の娘であるキャサリーン・トッドと結婚し、その息子ジョン・ジョーダン・クリッテンデン3世はアメリカ陸軍に入隊し、1876年のリトルビッグホーンの戦いでジョージ・アームストロング・カスター中佐と共に戦死するという悲劇に見舞われました。

クリッテンデンは弁護士として認められ、法廷で活躍する一方で、軍事にも関心を抱いていました。米墨戦争では、ザカリー・テイラー将軍の副官として従軍し、その後、第3ケンタッキー志願歩兵連隊の中佐として戦いました。戦後には、イギリスのリバプールでアメリカ領事を務めるなど、国際的な舞台でも活躍しました。

南北戦争

1861年に南北戦争が勃発すると、クリッテンデンは、ケンタッキー州が中立を宣言する一方で、南軍支持の動きがある中で、父と共に北軍に忠誠を誓いました。一方、兄は南軍に加わるという、複雑な家族関係の中での選択を迫られました。クリッテンデンは、ケンタッキー州民兵隊の少将を務めた後、志願兵の准将に指名され、オハイオ軍の第5師団を指揮することになりました。1862年のシャイローの戦いでは、その師団を率いて戦い、その後、志願兵の少将に昇進しました。ペリービルの戦いでは、オハイオ軍の第2軍団を指揮しましたが、戦闘への参加は限定的でした。

その後、ウィリアム・ローズクランズ少将がオハイオ軍、後にカンバーランド軍の指揮を引き継ぐと、クリッテンデンの軍団は左翼に配置され、ストーンズリバーの戦いでは激しい戦闘を経験しました。この戦いでの功績が評価され、後の1867年に正規軍の准将に名誉昇進しました。カンバーランド軍の再編に伴い、クリッテンデンの軍団は第21軍団として再編されました。タラホーマ方面作戦やチカマウガの戦いでは、第21軍団を率いて戦いましたが、チカマウガの戦いでの敗戦の責任を問われ、一時的に指揮官を外されました。しかし、後に潔白が証明され、責任を問われることはありませんでした。

1864年のスポットシルバニア・コートハウスの戦いでは、第9軍団第1師団を率いていたトマス・G・スティーブンソンが戦死した後、クリッテンデンがその後任として師団指揮官に選ばれました。5月12日に着任し、スポットシルバニアでの最後の日の指揮を執りました。その後、コールドハーバーの戦いにも参戦しましたが、1864年12月13日に除隊し、南北戦争の軍歴を終えました。

戦後

戦後、クリッテンデンはケンタッキー州財務官に就任し、1881年に引退するまでその職を務めました。また、正規軍の大佐および名誉准将の称号も得ています。1893年、ニューヨーク州スタテンアイランドのアナンデイルで亡くなり、ケンタッキー州フランクフォートに埋葬されました。

クリッテンデンの生涯は、南北戦争というアメリカの歴史的な転換期において、家族の分裂や個人的な葛藤を抱えながらも、軍人、政治家として活躍した、複雑で興味深い人物像を示しています。彼の軍事的なキャリアは、多くの戦いでその能力を発揮し、また、政治的な立場では、故郷ケンタッキー州に貢献しました。

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