トヨタ・キャバリエ

トヨタ・キャバリエ

トヨタ自動車が1996年から2000年の間に販売していたキャバリエは、Dセグメントに位置する4ドアセダンおよび2ドアクーペです。このモデルは、アメリカのシボレー・キャバリエをベースに、日本市場向けに特別な仕様変更が施されたバッジエンジニアリングモデルとして位置づけられています。

概要と販売経緯

キャバリエの販売が始まったのは1996年1月です。これは、日米間の自動車貿易摩擦を緩和するための施策の一環として、既存のシボレー・キャバリエを日本市場向けにアレンジしたものです。主な仕様変更として、ステアリングやウインカーレバーの右側移設が挙げられ、これにより日本の法規に適合する形に整えられました。なお、OEM供給はゼネラルモーターズから行われました。

トヨタの技術協力を受けたこの仕様変更により、価格を抑えた輸入車として注目を集めました。また、お笑いタレントの所ジョージがCMキャラクターを務めたことから、特別仕様車も話題となりました。所さんは愛犬のインディとともに出演し、キャバリエの魅力を国内に広めました。

キャバリエは、純正のAM/FMカセットステレオをシボレー・キャバリエと同じものを使用しており、トヨタとしては珍しい時計表示機能を搭載しています。このステレオには、オプションで蛍光管式デジタルクロックが選べないというユニークな点もあります。たとえば、社外のオーディオやナビゲーションを取り付ける場合、トヨタ車用のオーディオ変換コードが使用できないという問題も存在しました。

ただし、販売は苦戦を強いられました。年間目標台数の2万台に対し、1996年以降の累計販売台数は3万6228台と、期待されたほどの成果は上げられませんでした。2000年には、もともと設定されていた5年の販売計画を前倒しし、4月12日をもって日本市場への輸入が終了しました。この期間中の新車登録台数は合わせて3万7310台です。

購入環境と市場反応

当時のトヨタのセダンラインアップを考慮すると、CセグメントやDセグメントにおいてはすでに供給が充足していたため、キャバリエには市場でのニーズが薄かったとも言えるでしょう。トヨタ車に親しんできた消費者は、「良くできた平凡」や「優れた中庸」といった特徴を持つ日本車に慣れていたため、キャバリエのような異なるアプローチには抵抗感を持たれてしまったのかもしれません。

アメリカでの続行販売とモータースポーツ

日本市場での販売が終了した後も、キャバリエはアメリカ合衆国では2005年まで販売が続けられました。また、モータースポーツにおいても、KRAFTが1998年と1999年のJGTC（全日本GT選手権）GT300クラスに参戦しました。この時、キャバリエのエンジンには自然吸気の2リッター直4エンジンである3S-GEが使用され、最大295馬力を誇りました。

この耐久レースではFF（前輪駆動）を生かしながらの挑戦が行われ、1998年第5戦富士では、4位という結果を残しました。キャバリエはその後、特に日本市場においては忘れられつつありますが、アメリカでの販売や motorsports での活躍を通じて、独自の存在感を放っていました。

ディーラーとラインナップ

キャバリエは、トヨタ店および東京トヨペット、大阪トヨペットにて取り扱われました。販売時のラインナップも充実しており、さまざまなニーズに応える形で販売が行われました。

車名の由来

この車名の「キャバリエ」は、英語で「騎士」を意味する言葉に由来しています。また、キャバリエは当時の日本市場において、新たな挑戦としての位置づけがなされました。

もう一度検索