トヨタ・ヴォルツ

トヨタ ヴォルツ：異色のクロスオーバーSUV

ヴォルツ（VOLTZ）は、トヨタ自動車がかつて販売していたクロスオーバーSUVです。アメリカのNUMMI（New United Motor Manufacturing, Inc.）で生産され、日本へは正規輸入された唯一のNUMMI製車種として知られています。GM（ゼネラルモーターズ）との共同開発車であり、兄弟車としてポンティアック・ヴァイブが存在しました。

開発と背景

ヴォルツは、トヨタとGMが共同で開発したモデルで、NUMMIという合弁会社で生産されました。これは、当時の自動車産業における国際的な協力の象徴とも言えるプロジェクトでした。日本市場へも投入されることが当初から計画されており、2001年の東京モーターショーで日本仕様のヴォルツが公開されました。

スタイルとメカニズム

ヴォルツは、カローラシリーズなどに採用されているMCプラットフォームをベースに、SUV風のスタイリングを与えられました。1.8Lエンジンを搭載し、FF（前輪駆動）と4WD（四輪駆動）のモデルが用意されました。特に、「Z」グレードには、セリカなどに搭載されていた高性能な2ZZ-GE型エンジンと6速マニュアルトランスミッションが組み合わされ、スポーティーな走行性能が追求されました。全幅1,775mmの3ナンバーボディであり、型式はE130型でした。

日本で販売された仕様は、兄弟車のポンティアック・ヴァイブのデザインに準拠していましたが、パーツの多くはカローラ系のものを流用・加工して取り付ける必要がありました。エンジンは日本国内で主流の1ZZ-FE型が搭載され、エンジン系の部品には共通性が見られました。しかし、車高調やマフラーなどのアフターパーツは、日本国外向けのみの販売にとどまりました。

日本での販売と終焉

ヴォルツは2002年8月にネッツ店を通じて日本国内で販売が開始され、月間1,500台の販売目標が掲げられました。しかし、販売実績は振るわず、わずか1年9ヶ月で販売終了という短命に終わりました。その理由としては、同時期に販売終了となったスプリンターカリブと比較して車格が上がり、価格帯が変化したこと、当時の三菱車に採用されていたブーレイ顔のグリルが敬遠されたこと、輸入車に対するマイナスイメージなどが挙げられます。

販売期間中の登録台数は9,012台にとどまり、これは平成時代に新規発売・モデルチェンジされたトヨタ車の中では、非常に少ない台数でした。

車名の由来と関連情報

車名の「ヴォルツ」は、電圧の単位である「VOLT」からの造語です。

ヴォルツは、NUMMIでの生産、トヨタ自動車とゼネラルモーターズの共同開発、そして短命に終わった日本での販売など、様々な側面を持つ異色のクロスオーバーSUVでした。その存在は、当時の自動車産業の国際的な連携や、市場のニーズとのミスマッチを物語るものとして、記憶されています。

関連項目

NUMMI
トヨタ自動車
ゼネラルモーターズ
トヨタ・マトリックス
トヨタ・RAV4
トヨタ・スプリンターカリブ
* ポンティアック・ヴァイブ

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