トヨタ・スプリンター

トヨタ・スプリンター：カローラの兄弟車、その歴史と多様なモデル

スプリンターは、トヨタ自動車が1968年から2002年まで日本国内で生産・販売していた小型乗用車および商用車の名称です。カローラの姉妹車種として、異なる販売チャネルで展開され、独自の進化を遂げました。この記事では、スプリンターの歴史を初代から最終モデルまでを詳細に解説します。

スプリンターの概要

スプリンターは、カローラシリーズの一翼を担いながらも、販売チャネルの違いからカローラとは別の車種として扱われました。海外市場ではカローラとして販売されるケースもありましたが、基本的には日本国内専用のブランドとして展開されました。この記事では、初代カローラスプリンターを除くスプリンターシリーズの基本形であるセダンと、トレノを除く4代目以前のクーペを中心に解説します。

各モデルの詳細

初代 E15型 (1968年 - 1970年)

1968年5月、カローラから派生した独立トランクルームを持つファストバックスタイルのクーペ「カローラスプリンター」として登場しました。カローラがセダンとして発売されたのに対し、スプリンターはスポーツモデルの要望に応える形で追加されました。このモデルから、トヨタは多様なユーザーニーズに対応する「ワイド・セレクション体制」を構築しました。スプリンター専用の販売網として「トヨタオート店」が設立され、カローラよりも若々しくスポーティーなイメージで販売されました。最高時速もカローラセダンより5km/h速く設定されていました。1969年9月にはマイナーチェンジを実施し、エンジン排気量のアップやフロントディスクブレーキの標準装備などが行われました。

2代目 E20型 (1970年 - 1974年)

1970年5月、フルモデルチェンジによりカローラとスプリンターがそれぞれ独立した車種として設定されました。当初は2ドアクーペのみでしたが、1971年8月には4ドアセダンが追加されました。1972年3月には、2T-G型エンジンを搭載するホットモデル「トレノ」が追加され、カローラレビンと姉妹車になりました。1973年4月には、1.6Lエンジン搭載モデルが登場し、ラインナップが拡充されました。

3代目 E40/60型 (1974年 - 1979年)

1974年4月、3代目スプリンターが発売されました。カローラが30型を名乗るのに対し、スプリンターは40型となり、独立したシリーズとなりました。ボディは4ドアセダンとクーペが用意され、トレノも引き続きラインナップされました。排出ガス規制の影響でエンジンの改良が繰り返され、その過程で型式が40型から60型、65型と増えていきました。1975年にはリフトバックが発表され、1977年にはトレノが復活しました。

4代目 E70型 (1979年 - 1983年)

1979年3月、4代目スプリンターが発売されました。セダン、ハードトップ、リフトバック、クーペの4種類のボディタイプが用意され、トレノに加えてGTモデルも登場しました。1981年8月にはマイナーチェンジが行われ、レーザーエンジンへの換装や女性向けグレード「LISSE」の追加がありました。1982年にはディーゼルエンジン搭載モデルも追加されました。

5代目 E80型 (1983年 - 1987年)

1983年5月、5代目スプリンターが発売され、FF化されました。4ドア/5ドアセダン、FRの2ドア/3ドアクーペ（トレノ）がラインナップされました。5ドアセダンにはフルフラットリクライニングシートが装備され、多目的な使い方が可能でした。1985年にはマイナーチェンジが行われ、エンジンの変更や特別仕様車の追加が行われました。

6代目 E90型 (1987年 - 1991年)

1987年5月、6代目スプリンターが発売され、エンジンは1.3Lガソリンおよび1.8Lディーゼルを除き全車DOHC16バルブ化されました。1987年10月にはフルタイム4WDモデルが追加され、1988年には5ドアバンも発売されました。1989年5月にはマイナーチェンジが行われ、グレードの見直しやエンジンの改良が行われました。

7代目 E100型 (1991年 - 2002年)

1991年5月、7代目スプリンターが発売されました。ボディは4ドアセダンとバン、ビジネスワゴンのみとなり、5ドアハッチバックのシエロは廃止されました。1991年9月にはセダンに4WDモデルが追加され、1993年にはマイナーチェンジが行われました。1995年にはセダンの生産が終了し、バンとビジネスワゴンは2002年まで販売されました。

8代目 E110型 (1995年 - 2000年)

1995年5月、8代目スプリンターが発売されました。1996年には全車に運転席/助手席SRSエアバッグとABSが標準装備され、1997年にはマイナーチェンジが行われました。1998年にはエンジンの改良が行われ、2000年にはトレノの生産が終了し、セダンも生産終了となりました。バンとビジネスワゴン、カリブは2002年まで販売されました。

車名の由来

スプリンターの名前は、短距離走者（スプリンター）にちなんで名付けられました。

派生車種

スプリンターには、以下のような派生車種が存在します。

トヨタ・スプリンタートレノ：スポーツクーペ
トヨタ・スプリンターカリブ：ステーションワゴン
トヨタ・スプリンターシエロ：5ドアハッチバックセダン
トヨタ・スプリンターマリノ：ハードトップ
ジオ・プリズム：4ドアセダン
シボレー・ノヴァ：4ドアセダン・5ドアハッチバック

事実上の後継車種

スプリンターの事実上の後継車種は以下の通りです。

セダン：トヨタ・プラッツ
シエロ：トヨタ・アレックス
バン：トヨタ・プロボックス
カリブ：トヨタ・ヴォルツ

関連項目

トヨタ自動車
トヨタ・カローラ
ネッツ店
リセ - 女性向け車種の『リセ（Lisse）』の由来

スプリンターは、34年の歴史の中で多様なモデルを展開し、多くのファンに愛されました。その歴史は、日本の自動車史において重要な1ページを飾っています。

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