トランス・アーツ

株式会社トランス・アーツ：日本のアニメーション制作会社とその歴史

株式会社トランス・アーツは、日本のアニメーション業界において、企画・制作、テレビCM制作を主な事業としていた企業でした。1967年、黒木衛氏と黒木敬七氏兄弟によって設立されました。黒木衛氏は、タツノコプロの『宇宙エース』の撮影を経験した撮影マン出身であり、その経験がトランス・アーツ設立の礎となりました。

創業当初はアニメーションの撮影会社としてスタートし、タツノコプロや東京ムービーの作品を数多く手がけました。特に日本アニメーションとは深い関係を築き、同社スタジオに分室を置くほど緊密な協力関係を維持し、撮影業務を一手に引き受けていました。

その後、トランス・アーツは制作体制を強化し、演出、作画、仕上といったスタッフを抱えるまでに成長しました。これにより、グロス請け（制作請負）を開始。日本アニメーション制作の『トッポ・ジージョ』、『ジャングルブック・少年モーグリ』、『ピグマリオ』、『燃えろ!トップストライカー』、『ママはぽよぽよザウルスがお好き』など、多くの作品でシリーズ単位の制作協力を担うようになりました。

2000年代に入ると、日本アニメーションからの元請け作品の減少に伴い、Production I.Gとの連携を強化。Production I.Gからグロス請けを受注する一方、『テニスの王子様』や『韋駄天翔』といったトランス・アーツが制作に関わった作品に、Production I.Gがシリーズ単位で制作協力を加えるといった関係へと変化していきました。

トランス・アーツには「ハートフィールド」「宮崎アニメーションスタジオ」「バリ・マーサ」といった関連会社もありましたが、いずれも破産前に解散しています。そして、2012年3月30日、同社は破産手続開始を迎えました。本社があった場所はその後建て替えられ、現在では一般住宅となっています。

しかし、トランス・アーツの破産は、アニメ業界への影響にとどまりませんでした。同社に在籍していたスタッフによって「アドバンス石神井」や「あーとぼっくす」といった新たな制作会社が設立され、アニメーション制作の伝統は受け継がれています。

トランス・アーツの作品

トランス・アーツは、数多くのアニメーション作品に携わってきました。その作品履歴は多岐に渡り、テレビアニメ、劇場アニメ、OVA、Webアニメなど、様々な形式の作品制作に関与しました。

劇場アニメでは、『劇場版 テニスの王子様 跡部からの贈り物 君に捧げるテニプリ祭り』（2005年）、Production I.Gとの共同制作作品である『チョコレート・アンダーグラウンド』（2009年）、『ルー=ガルー』（2010年）などがあります。

OVAでは、『グッドモーニング・コール』（2001年）、『時空異邦人KYOKO ちょこらにおまかせ!』（2001年）などを制作しています。

Webアニメには、『めぐみ』（2008年）があります。

さらに、数多くのアニメ作品で制作協力も行っており、『若草のシャルロット』、『はいからさんが通る』、『トランスフォーマー』シリーズ、『アンパンマン』シリーズ、『テニスの王子様』など、有名作品にも名を連ねています。これらの作品において、撮影や各話制作協力といった形で貢献しました。

トランス・アーツは、その歴史の中で、日本のアニメーション業界に大きな貢献を果たしました。多くのアニメ作品に関わった実績と、新たな制作会社設立という形で受け継がれた技術は、今後も日本のアニメーション業界を支える礎となるでしょう。

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