ドイツ独立社会民主党

ドイツ独立社会民主党（USPD）

ドイツ独立社会民主党（Unabhängige Sozialdemokratische Partei Deutschlands, USPD）は、帝政末期からヴァイマル共和政期にかけて存在したドイツの政党です。第一次世界大戦中の1917年、ドイツ社会民主党(SPD)の戦争支持の方針に反発した人々によって結成されました。

党の成立と初期の活動

1914年8月、第一次世界大戦が勃発すると、ドイツ社会民主党（SPD）は政府の「城内平和」政策に応じて戦争支持を表明しました。しかし、党内の急進左派はこれに反発。1915年頃には、戦争の長期化により党の戦争支持に対する不満が拡大し、党内反対派「ハーゼ・グループ」が形成されました。

1917年3月、ロシア革命が発生し、ドイツ国内でも革命の機運が高まりました。SPD内の反対派も勢いを増し、同年4月、ゴータで創立大会が開催され、「ドイツ独立社会民主党」が正式に結成されました。

ドイツ革命と人民代表評議会

1918年11月、ドイツ革命が勃発。SPD党首フリードリヒ・エーベルトは独立社会民主党に政権参加を呼びかけ、両党は人民代表評議会という仮政府を樹立しました。しかし、評議会の運営を巡り両党の対立が激化。同年12月、独立社会民主党は政権を離脱しました。

1919年1月の総選挙で独立社会民主党は議席を伸ばせませんでしたが、1920年6月の総選挙では躍進し、第2党となりました。これは、ヴァイマル共和政に対する国民の不満の表れでした。

コミンテルン参加問題と党の分裂

独立社会民主党内には、右派と左派の対立が存在していました。1920年、コミンテルンが提示した参加条件（21か条）を巡り、党は分裂。コミンテルン参加を支持する左派はドイツ共産党(KPD)へ移り、反対する右派は党に留まりました。

その後と党の解体

右派のみとなった独立社会民主党は、1922年にSPDと再合流しました。ごく一部の党員は独立を維持しましたが、1931年にドイツ社会主義労働者党(SAPD)へ合流し、その歴史を終えました。

党の構成員

独立社会民主党は、フーゴー・ハーゼやカール・カウツキーらの中央派、ローザ・ルクセンブルクやカール・リープクネヒトらのスパルタクス団、エドゥアルト・ベルンシュタインらの修正主義者など、様々な思想を持つ人々で構成されていました。ただし、スパルタクス団は独立社会民主党に批判的であり、党を利用する目的で参加していました。

独立社会民主党は、第一次世界大戦後のドイツ政治において重要な役割を果たしましたが、党内の対立や外部からの影響により、短期間で解体へと向かいました。

主要参考文献

阿部良男『ヒトラー全記録 20645日の軌跡』柏書房、2001年。ISBN 978-4760120581。 
秦郁彦 編『世界諸国の組織・制度・人事　1840―2000』東京大学出版会、2001年。ISBN 978-4130301220。 
林健太郎『ワイマル共和国 ：ヒトラーを出現させたもの』中公新書、1963年。ISBN 978-4121000279。 
平島健司『ワイマール共和国の崩壊』東京大学出版会、1991年。ISBN 978-4130300759。
* 成瀬治、山田欣吾、木村靖二『ドイツ史〈3〉1890年~現在』山川出版社〈世界歴史大系〉、1997年。ISBN 978-4634461406。

もう一度検索