ドイツ義勇軍

ドイツ義勇軍（フライコーア）とは

ドイツ義勇軍（Freikorps, フライコーア）は、第一次世界大戦後のドイツで生まれた、主に退役軍人によって構成された民兵組織です。「自由な軍団」を意味し、その活動はドイツ社会に大きな影響を与えました。

起源と特徴

フライコーアの起源は18世紀に遡りますが、一般的に知られているのは第一次世界大戦後の組織です。大戦に敗北したドイツでは、多くの兵士が社会に復帰できず、また社会の混乱に対する不満を抱えていました。彼らは、共産主義勢力の拡大を阻止し、ドイツの秩序を維持することを目的としてフライコーアに参加しました。

フライコーアは、各地の旧軍将校が指揮を執り、独自の編成を行っていました。その心情は、反共主義、反ボルシェヴィズムであり、同時に反共和国的な傾向も持っていました。青年運動や第一次世界大戦での特攻隊の経験も、彼らの心情に影響を与えました。

活動

フライコーアは、ドイツ革命の鎮圧、スパルタクス団の壊滅、各地のレーテ共和国の打倒など、国内の治安維持活動に投入されました。また、バルト三国やシレジア、プロイセンなど、国境地帯での紛争にも関与し、戦果を挙げました。特にバルト三国では、ボリシェヴィキとの戦いを通じて、革命的ナショナリズムやナショナルボルシェヴィズムといった思想に影響を受けました。

解散とその後

ヴェルサイユ条約に基づき、フライコーアは1920年に解散を命じられます。しかし、一部の組織は名前を変えて準軍事組織として活動を継続しました。カップ一揆に参加した部隊もありましたが、クーデターは失敗に終わりました。

フライコーアの解散後、多くのメンバーがナチ党に入党し、その後のナチス政権の成立と運営に深く関与しました。エルンスト・レームやルドルフ・フェルディナント・ヘスなど、後のナチス幹部もフライコーアの出身者です。

影響

フライコーアは、ヴァイマル共和国の政治と社会に大きな影響を与えました。彼らの反共主義的な活動は、社会の不安定化を招き、ナチズム台頭の土壌を作りました。また、フライコーアの経験は、後のナチス党幹部の人格形成にも影響を与えたと考えられています。

主な人物

フライコーアには、様々な人物が参加していました。以下に主な人物を挙げます。

ヨシアス・ツー・ヴァルデック＝ピルモント（親衛隊大将）
カール・ヴォルフ（親衛隊大将）
フランツ・フォン・エップ（ナチ党国防部長）
アルトゥール・グライザー（ダンツィヒ市長、ヴァルテラント総督、親衛隊大将）
エルンスト・レーム（突撃隊幕僚長）
ヴァルター・ヴェンク（陸軍装甲兵大将）
ヴィルヘルム・カナリス（海軍提督、国防軍諜報部長官）
アルベルト・レオ・シュラーゲター（ルール地方における対仏レジスタンス闘士）

義勇軍章

フライコーアには、様々な記章が存在しました。以下に主なものを挙げます。

バルト十字章
シュレージエン鷲章
東部国境警備隊騎士盾章
ヴェストファーレン馬章付緑色飾緒
上シュレージエン十字章

関連項目

第一次世界大戦
エルンスト・ユンガー
エルンスト・フォン・ザロモン
保守革命
ヴァイマル共和国
ナチズム

参考文献

ロバート・G・L・ウェイト『ナチズムの前衛』（新生出版、2007年）
クラウス・テーヴェライト『男たちの妄想』（法政大学出版局、1999年、2004年）
成瀬治・山田欣吾・木村靖二 編『ドイツ史』 3巻、山川出版社、1997年。
* 八田恭昌『ヴァイマルの反逆者たち』世界思想社、1981年。

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