ドドンパ酔虎伝

ドドンパ酔虎伝

『ドドンパ酔虎伝』（ドドンパすいこでん）は、1961年6月7日に大映によって配給・公開された日本の時代劇映画です。高田馬場での決闘で知られる剣豪、中山安兵衛にまつわる逸話をベースに、歌と踊りの要素を取り入れたミュージカル仕立てという異色の作品となっています。監督は田中徳三が務め、主演には勝新太郎が配されました。

製作背景

本作の企画は、公開当時、日本国内でミュージカルを取り入れた映画が一定の成功を収めていた時流に乗る形で、配給元である大映が進めたとされています。大映は、当時スターであった勝新太郎と、時代劇や任侠映画で手腕を発揮していた田中徳三監督のコンビに白羽の矢を立てました。しかし、伝えられるところによると、監督の田中も主演の勝も、当初はこの企画に対して必ずしも意欲的ではなかったようです。にもかかわらず、会社の強い意向もあり、半ば押し切られるような形で製作が開始されたとされています。こうした経緯を経て完成・公開された本作でしたが、結果として興行成績は振るわず、企画側の期待に応えることはできなかったと伝えられています。

物語（あらすじ）

物語は、江戸の町で中山安兵衛が作曲したとされる「どどんぱ音頭」が大流行しているところから始まります。この陽気な歌はまたたく間に人々の間に広まりますが、その流行に目をつけた権十郎という男がいました。権十郎は「どどんぱ音頭」を悪用し、これを布教の道具とする新興宗教を立ち上げ、勢力を拡大していきます。

同じ頃、江戸の街では「台風組」と名乗る盗賊集団が荒らしまわっていました。彼らは自らを赤穂浪士を名乗るかのごとく振る舞うため、世間は赤穂浪士たちに対しあらぬ疑いを抱くようになります。これを憂慮した中山安兵衛は、かつての主君や同志の名誉を守るため、台風組の行方を追うことを決意します。

捜査を進める中で、安兵衛は「どどんぱ音頭」を悪用する新興宗教と、街を荒らす台風組の間に何らかの繋がりがあることを突き止めます。そして物語が進むにつれて、人々の信仰心と流行歌を利用する新興宗教の教祖と、街を混乱に陥れる盗賊集団「台風組」の首領が、実は同一人物であるという驚くべき真相が明らかになります。

主な出演者

中山安兵衛：勝新太郎
大高源吾：小林勝彦
まり江：渡辺マリ
園枝：浦路洋子
赤垣源造：水原弘
おしん：宮川和子
お勝：楠トシエ
おきみ：白鳥みづえ
有難やの三次：由利徹
申し訳ないの仙太：南利明
堀部弥兵衛：益田キートン
清水一角：千葉敏郎
おかん婆ア：武智豊子
金貸し万吉：中村是好
村上権十郎：山路義人
文吉：伊藤素道、リリオリズムエアーズ
武助：大杉潤
万吉女房おせん：滝のぼる
太郎吉：高梨雄司
氏上典膳：伊達三郎
若党久作：沖時男
須貝甚左衛門：荒木忍

主なスタッフ

監督 : 田中徳三
企画 : 高森富夫
撮影 : 武田千吉郎
美術 : 太田誠一
音楽 : 宮川泰
編集 : 菅沼完二
* 脚本 : 川内康範

併映作品

本作は、砂見国博監督による『背広姿の渡り鳥』と同時上映されました。

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