ドール・フード・カンパニー

ドール・フード・カンパニー（Dole Food Company, Inc.）

ドール・フード・カンパニーは、アメリカ合衆国に本社を置く多国籍農業・食品企業です。通称「ドール（Dole）」として知られ、世界中で果物や野菜の生産・販売を手がけています。特にバナナやパイナップルの分野で高いシェアを誇り、グローバルブランドとして広く認知されています。

歴史

キャッスル&クック社

1851年、サミュエル・ノースラップ・キャッスルとエイモス・スター・クックによって、ホノルルで「キャッスル&クック社（Castle & Cooke）」として設立されました。当初は商事会社としてスタートしましたが、後に農産物事業へと拡大していきます。

ハワイアン・パイナップル社

1877年、マサチューセッツ州で生まれたジェームズ・ドールは、ハーバード大学で農学と経営学を修め、1899年にハワイへ移住しました。1901年、彼はオアフ島で「ハワイアン・パイナップル社（Hawaiian Pineapple Company）」を創業し、パイナップルの生産に力を注ぎました。

ドールは、ホノルル港近くに工場を建設し、最新鋭の農業機械を導入、さらにラナイ島やマウイ島に農園を拡大することで、「パイナップル王」と称されるようになりました。彼のパイナップル事業は、ハワイの農業に大きな影響を与えました。

合併と変遷

1932年、ハワイアン・パイナップル社はキャッスル&クック社（C&C）に株式の21%を取得され、1961年には完全に買収されました。キャッスル&クック社は、その後も世界各地に農園を広げ、一大農業企業へと成長を遂げました。1964年には、全米2位のバナナ輸入業者であったスタンダード・フルーツ社の株式を55%取得し、1968年には100%取得しました。この会社は、日本向けバナナを生産するため、1967年にフィリピンのミンダナオ島にスタンフィルコ社を設立しています。

1978年にはカリフォルニアのレタス・セロリ生産大手のバッド社（Bud Antle Inc.）を取得し、1989年にDole Fresh Vegetablesと改称しました。

1970年代以降、ハワイの農業衰退に伴い経営難に陥り、合併を経て1991年にドール・フード・カンパニー・インクと社名を変更しました。2012年、キャッスル&クック社（新）の管理するラナイ島の農場のほとんどがラリー・エリソンに売却されました。

事業売却

2013年4月1日、「アジアにおける青果物事業とグローバル展開する加工食品事業」が伊藤忠商事に売却されました。これにより、ドールは加工食品事業も展開するブランドとなりました。アジア事業も同時に売却され、売却前のドール社は世界90カ国以上に拠点を置いていましたが、現在の事業エリアは主に北米と欧州（一部が中南米・アフリカ・中近東）となっています。

伊藤忠商事によるドール事業

伊藤忠商事は、ドール事業を以下の持株会社・事業会社を通じて展開しています。

持株会社

Dole International Holdings株式会社（ドール・インターナショナル・ホールディングス）：伊藤忠商事の100%子会社で、ドール事業の統括を行います。
DPF Holdings, Inc.（DPFホールディングス）：DIH社の100%子会社。
Dole Asia Holdings Pte Ltd.（ドール・アジア・ホールディングス）：DIH社の100%子会社で、アジア地域の事業を統括します。

事業会社

Dole Packaged Foods, LLC（米州）：加工食品事業を展開。
Dole Packaged Foods Europe SAS（欧州・アフリカ・中近東）：加工食品事業を展開。
Dole Thailand Limited（タイ）：タイにおける事業。
Dole Philippines, Inc.（フィリピン）：フィリピンにおける事業。
株式会社ドール（日本）：日本における事業。
株式会社フレッシュシステム
フレッシュリミックス株式会社
株式会社ケーアイ・フレッシュアクセス
Dole Korea, Ltd.（韓国）：韓国における事業。

日本におけるドール事業

株式会社ドール（Dole Japan, Inc.）は、かつて米ドール社の日本法人でしたが、現在は伊藤忠商事グループのDole International Holdings傘下の企業です。本社は東京都千代田区にあります。

1965年にドール日本支社として創業し、1982年に日本法人「株式会社ドール」として設立されました。2012年9月から2013年10月までは「合同会社ドール」でしたが、2013年4月1日の事業売却により伊藤忠商事へ移管されました。

かつては雪印乳業と提携し、果汁飲料やアイスクリーム加工品を製造・販売する合弁企業を設立していましたが、雪印グループの一連の不祥事を契機として2002年に提携関係を解消しました。

現在、日本国内では以下の企業がドール製品を販売しています。また、一部はドールの直轄事業としても展開されています。

雪印の事業継承会社

協同乳業（ヨーグルト）
雪印メグミルク（ジュース）：雪印乳業の乳を含む飲料事業を継承。
ロッテ（アイスクリーム）：雪印のアイスクリーム事業を継承。
不二家（グミ、キャンディ）

日本におけるドールロゴの登録商標権は、シンガポールのドール・アジア・ホールディングスが保有しています。

ドールは、機能性表示食品の分野でも多数の届け出を行っており、果物のマーケティングを積極的に展開しています。これにより、消費者の健康志向に応え、市場でのブランドイメージを確立しています。

出典

Dole（英語）
ドールプランテーション（日本語）
株式会社ドール（ドールジャパンインク）（日本語）
ドール (@dole.sunshine.jp) - Instagram
Dole Japan (Dole.japan) - Facebook
ドール (@bobbykun_banana) - X（旧Twitter）
* Dole Japan Inc - YouTubeチャンネル

もう一度検索