ナタルマ

ナタルマ：サラブレッド競走馬の歴史

ナタルマ（Natalma）は、1957年にアメリカ合衆国で生まれ、カナダで調教されたサラブレッドの牝馬です。競走馬としては平凡な成績を残しましたが、歴史的な種牡馬ノーザンダンサーの母として、多大な影響を持つ存在として知られています。彼女は2007年にカナダ競馬名誉殿堂に選出され、その業績が認められました。

概要

ナタルマの父は、20世紀を代表する名種牡馬ネイティヴダンサーであり、母はステークス勝ち馬のアルマームードです。アルマームードの3番目の仔として生まれたナタルマは、サラトガのイヤリングセールに出品され、カナダのビール醸造業者エドワード・プランケット・テイラーに35,000ドルで購入されました。

1959年に競走馬としてデビューしたナタルマは、スピナウェイステークスでの入線時に1位でしたが、3着に降着されてしまいます。翌年にはケンタッキーオークスを目指して調教を行っていましたが、膝を骨折し、無念の引退を余儀なくされました。競走生活では7戦して3勝という成績を残し、その後はウインドフィールドファームで繁殖牝馬として新たな道を歩むことになります。

繁殖としての成功

ナタルマの繁殖生活は、同年に種牡馬入りしたニアークティックとの初年度の交配から始まりました。彼女はニアークティックの仔を孕み、1961年に生まれた牡馬が後にノーザンダンサーとなります。ノーザンダンサーはケンタッキーオークスやケンタッキーダービーを制覇し、さらに種牡馬としても成功を収め、20世紀最大の名馬とされています。

ナタルマはノーザンダンサー以外にも、1981年までに15頭の競走馬を産み、その中にはステークス競走で勝利を挙げる馬も存在しました。特に注目される産駒には、Native Victor（カナディアンハンデキャップ）、Regal Dancer（ジャックカーターステークス）、Born a Lady（パールネックレスステークス）などがあります。さらに、成績が振るわなかった馬でも、後に名馬の母または祖先となった例が数多くあります。

例えば、ノーザンダンサーの全妹であるアークティックダンサーは、名牝ラプレヴォヤンテを生み出しました。また、スプリングアディユは優れた種牡馬デインヒルの祖母であり、レイズザスタンダードはエルモキシーやマキャベリアンに繋がる系統を残しました。ナタルマの血統は、後世の名馬に多大な影響をもたらしています。

最期と評価

1985年、ナタルマはウインドフィールドファームのメリーランド支場で疝痛を発症し、手当てが施されましたが回復は叶わず、1月29日に安楽死となりました。遺体は同牧場内の墓地に埋葬されました。

ナタルマは、その競走成績以上にノーザンダンサーの母としての評価が高く、1965年にはウッドバイン競馬場に「ナタルマステークス」というレースが創設されるなど、業績が称えられています。彼女の血脈は、今なお数多くの名馬に引き継がれており、競馬界における重要な存在としてその名を刻んでいます。

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