デインヒル

デインヒル：競走馬から伝説の種牡馬へ

デインヒルは、アメリカで生まれたサラブレッドの競走馬であり、種牡馬として名を馳せたサラブレッドです。現役時代はイギリス、フランス、アイルランドを転戦し、短距離レースを中心に活躍しました。G1競走はスプリントカップでの優勝1回にとどまりましたが、2000ギニーで3着、アイリッシュ2000ギニーで4着に入るなど、クラシックレースでも好成績を残しています。その他の勝ち鞍には、コーク＆オラリーステークス（G3）、ヨーロピアンフリーハンデキャップ（LR）などがあります。

しかし、デインヒルの真価は引退後、種牡馬として開花しました。アイルランドのクールモアスタッドを拠点に、北半球のオフシーズンにはオーストラリアで種付けを行うシャトル種牡馬として活動しました。このシャトル種牡馬というビジネスモデルを確立した先駆者の一人と言えるでしょう。

クールモアスタッドでの種牡馬生活は、大きな成功を収めます。オーストラリア2歳チャンピオンのフライングスパーや、アイリッシュダービー優勝馬デザートキングなど、数多くの活躍馬を輩出しました。その活躍はイギリスにおいても認められ、2005年には長年リーディングサイアーの座に君臨していたサドラーズウェルズを抜き去るという快挙を達成しました。

デインヒルの成功は、その産駒が種牡馬としても活躍した点にも表れています。北半球ではデインヒルダンサー（2009年イギリス・アイルランドリーディングサイアー）、ダンシリ（2007年フランスリーディングサイアー）が、南半球ではフライングスパー、リダウツチョイス、ファストネットロックがオーストラリアリーディングサイアーに輝きました。これらの子孫たちは、現在も世界中で活躍しており、デインヒル系の勢力は衰えることを知りません。

日本においても、デインヒルは1996年にイーストスタッドでリース種牡馬として1年間活躍しました。フサイチソニック（神戸新聞杯）、ブレイクタイム（京成杯オータムハンデキャップ2勝、安田記念2着）といった活躍馬を輩出しましたが、海外での活躍に比べると、やや物足りない結果となりました。しかし、1997年生まれの生産年別統計ではサンデーサイレンス、トニービンに次ぐ3位と、決して低い成績ではありませんでした。また、秋華賞とエリザベス女王杯を制したファインモーションや、エプソムカップ優勝馬ツクバシンフォニーなど、多くの活躍馬を輩出しています。

デインヒルは種牡馬としての成功だけでなく、母の父としても優れた成績を残しました。凱旋門賞優勝馬デインドリームのほか、日本ではエイジアンウインズ（ヴィクトリアマイル）、フェノーメノ（天皇賞（春）2勝）といったGI馬を輩出しています。特に、父ガリレオとの配合からは、歴代最高レーティングを獲得したフランケルを始め、数多くの活躍馬が誕生しています。

デインヒルは2003年に放牧中に転倒し、惜しまれつつも死亡しました。しかし、その血統は世界中に広がり、現在も多くの競走馬たちがその偉大な遺伝子を受け継いで活躍しています。その功績は、競走馬の歴史に長く刻まれることでしょう。

主な産駒（一部抜粋）

デインヒルは数多くの活躍馬を輩出しました。その一部を以下に挙げます。

1991年産: キッシングカズン、ジョワデニーズ、ダナシンガ、ダナラニ、ダンゼロ、デインウイン、デイニッシュ
1992年産: ナッシンライカデイン、フライングスパー
1993年産: デインヒルダンサー、デインリッパー、マジックオブシドニー、マーレーン
1994年産: スペシャルデイン、デザートキング、デインタイム
1995年産: アリーナ、タイガーヒル、デーンロー、フェアリーキングプローン、ミスデインヒル
1996年産: インディアンデインヒル、エメラルドドリーム、カットバード、コマンズ、ダンシリ、ブラックフライヤーズ、リダウツチョイス、レッセフェール、ワナビーグランド
1997年産: アジア、キーパー、ミスターマーフィー
1998年産: アーリントンロード、アクワレリスト、ヴァイキングルーラー、デインストーム、ハハ、バンクスヒル、マジカルミス、モーツァルト、リーガルローズ
1999年産: ウェスターナー、ザデューク、ドレストゥスリル、ファインモーション、プラチナムシザーズ、ラッキーオーナーズ、ラローチャ、ランドシーア、ロックオブジブラルタル
2000年産: インターコンチネンタル、エクシードアンドエクセル、エルヴストローム、クロドヴィル、シンジグ、スパルタクス、ライトジグ
2001年産: アクアダモーレ、アルティストロワイヤル、アルマーヘル、カシーク、グレイリラス、ジッピング、デヴィルムーン、ノースライト、パンクティラス、ファストネットロック
2002年産: エシュロン、オラトリオ、ダルシブラーマ、マウンテンハイ、ルアスライン
2003年産: オージールールズ、シャンゼリゼ、ジョージワシントン、ディラントーマス、ホレーショネルソン、ルンペルシュチルツヒェン
2004年産: シンプリーパーフェクト、デュークオブマーマレード、ホーリーローマンエンペラー、ピーピングフォーン、プロミシングリード

その他、多くの産駒が世界中で活躍しています。このリストはほんの一部です。

デインヒルは、競走馬としての才能だけでなく、優れた遺伝子を持つ種牡馬として、そしてシャトル種牡馬という新しいビジネスモデルを確立した先駆者として、競馬史にその名を刻みました。

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