ナムコミュージアム (PSP)

ナムコミュージアム (PlayStation Portable)

『ナムコミュージアム』は、かつてナムコ株式会社（現在のバンダイナムコエンターテインメント）がPlayStation Portable（PSP）向けに展開したゲームソフトシリーズです。第一作は2005年2月24日に、続編となる『ナムコミュージアム Vol.2』は2006年2月23日にそれぞれ発売されました。海外では、これら二つのタイトルが『Namco Museum Battle Collection』として一つにまとめられリリースされています。

本シリーズの特徴は、ナムコがアーケードゲームで一時代を築いた名作の数々を携帯機で手軽に遊べるようにした点にあります。単なる移植版だけでなく、グラフィックやゲームシステムに現代的なアレンジを加えた「アレンジメント」バージョンが収録されていることも大きな魅力です。これにより、往年のゲームファンはもちろん、新しい感覚でクラシックゲームを楽しみたいプレイヤーにもアピールする内容となっています。

第一作にあたる『ナムコミュージアム』には、世界的な人気を誇る『パックマン』や、シューティングゲームの金字塔『ギャラガ』、地中を掘り進むユニークなアクションゲーム『ディグダグ』といった定番タイトルに加え、『ミズ・パックマン』、『ギャラクシアン』、『ラリーX』、『ニューラリーX』といった名作アーケードゲームがそのままの形で収録されています。さらに、これらのうち『パックマン』、『ギャラガ』、『ニューラリーX』、『ディグダグ』には、刷新された「アレンジメント」バージョンも同時に収録されています。

続く『ナムコミュージアム Vol.2』では、さらに多彩なラインナップが追加されました。『ゼビウス』、『マッピー』、『ドルアーガの塔』、『ドラゴンバスター』といった、ゲーム史に名を刻むタイトルに加え、『キング&バルーン』、『ボスコニアン』、『グロブダー』、『ディグダグII』、『モトス』、『ローリングサンダー』、『ドラゴンスピリット』といった隠れた名作やコアなファンを持つタイトルも収録されています。こちらにもアレンジメント版が用意されており、『パックマンアレンジメントプラス』と『モトスアレンジメント』が新たに加わりました。

「アレンジメント」バージョンは、オリジナルのゲームをベースにしつつも、グラフィックはより鮮やかに、システムは現代風に再構築されています。特に、複数プレイヤーによる同時プレイに対応しているタイトルが多く、PSPの通信機能を使った対戦や協力プレイが楽しめる点が画期的でした。過去にアーケードで稼働した『ナムコクラシックコレクション』シリーズに収録されていたアレンジ版とは内容が異なり、PSP版独自のアレンジが施されています。

収録されているアレンジメント版の具体的な内容は以下の通りです。

パックマンアレンジメント: オリジナルとは異なる斜め見下ろし視点で展開し、全30ステージ構成。従来のパワークッキーだけでなく、ジャンプやワープといった新アイテム、自動開閉するドアなどのギミックが追加されています。特定のステージでは巨大なゴーストとのボス戦が用意されており、パワークッキーで弱体化させて分裂させるなど、戦略的な要素が加わりました。これは『ナムコクラシックコレクション Vol.2』版とは別内容ですが、一部に共通する迷路の要素も見られます。このバージョンは後にXbox 360版『ナムコミュージアム バーチャルアーケード』や、iPhone向けに『パックマンリミックス』として移植されましたが、移植版では多人数プレイモードが削除されています。
ギャラガアレンジメント: パワーアップ要素が導入され、敵に大型のボスキャラクターが登場します。最大4人までの同時プレイに対応しており、クリア速度を競う対戦モードが楽しめます。後にXbox 360版やiPhone向け『ギャラガリミックス』としてもリリースされましたが、こちらも多人数プレイは非対応です。
ニューラリーXアレンジメント: オリジナルと同じ真上からの視点ですが、コースには立体交差やジャンプ台といったギミックが追加され、よりテクニカルな走行が求められます。2人対戦モードでは、相手の煙幕でスピンさせるとフラッグを落とすことがあり、これを奪うことが可能です。1人プレイでも特定のステージでは敵車がフラッグを所持している場合があり、オリジナルにはない駆け引きが生まれています。Xbox 360版やiPhone向け『ディグダグリミックス』に移植されたディグダグアレンジメントと共に収録されたことがありますが、ニューラリーXアレンジメントの他のプラットフォームへの単独移植は少ないようです。
ディグダグアレンジメント: プーカやファイガーといったおなじみの敵キャラクターに加え、多数の新規キャラクターが登場し、ステージ上の仕掛けも多岐にわたります。各エリアの最終ステージには巨大なボスモンスターが待ち構えています。2人協力プレイでは、誤って味方にモリや岩を当ててしまうと、当てられた側がミスになるだけでなく、当てた側も減点されるというユニークなルールが採用されています。これもXbox 360版やiPhone向け『ディグダグリミックス』として移植されましたが、やはり多人数プレイは削除されています。
パックマンアレンジメントプラス: 『ナムコミュージアム Vol.2』で初登場したバージョンです。既存の『パックマンアレンジメント』からさらに進化しており、ステージのグラフィックや背景がリニューアルされました。多人数プレイは最大4人でのアドホック対戦に対応。制限時間内に多くのクッキーを集めたプレイヤーが勝利するルールで、ゴーストに捕まると自身もゴースト化し、集めたクッキーをばらまいてしまうという逆転要素があります。他のプレイヤーにタッチすることでパックマンに戻れるなど、対戦を盛り上げるインタラクティブな要素が特徴です。
モトスアレンジメント: 『ナムコミュージアム Vol.2』に収録。全35ステージで、ステージ全体が傾いたり、特定の場所が一方通行になったりするユニークなギミックが多数登場します。基本的なゲームルールはオリジナルを踏襲していますが、ステージクリア後に転落してもミスにならない、敵が落としたビーコンが点数にならないなどの細かい違いがあります。最大4人での対戦プレイが可能で、ゲームシェアリング機能にも対応しており、ソフト1本で複数人での対戦が楽しめました。

PSP版『ナムコミュージアム』シリーズは、単に過去のゲームを収録するだけでなく、携帯機ならではの遊び方や、アレンジメント版による新たな挑戦を盛り込んだ意欲的なタイトル群でした。レトロゲームの魅力を再発見しつつ、多人数プレイで現代的なゲーム体験も提供することで、幅広い層のプレイヤーに楽しまれました。

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