ナルサワ (小惑星)

小惑星ナルサワについて

小惑星ナルサワ（英語: Narusawa）は、小惑星帯内を公転する一つの小惑星です。1989年11月29日に、北海道の北見市で天文学者の渡辺和郎と円舘金によって初めて発見されました。この時、ナルサワの見かけの明るさは16.5等級であり、観測の際に使用された可視光線のVバンドでは、時期によって16等級から20等級の明るさが確認されています。発見から年月が経つ中で、ナルサワについては多くの観測が行われ、2024年2月の時点で約2900回の観測記録があることが報告されています。

ナルサワの公転については、太陽からおおよそ2.385天文単位（約3億5679万キロメートル）の距離に位置し、約3.7年で一周する軌道を描いています。さらに、この小惑星の軌道の離心率は約0.193で、黄道に対して約3.27度の傾きを持っています。ナルサワはニサ族に属する小惑星の一つと考えられています。

物理的特性

ナルサワの物理的な特徴はまだ多くが解明されていませんが、Collaborative Asteroid Lightcurve Linkが運営するAsteroid Lightcurve Databaseでは、スペクトル分類がX型とされており、反射能（アルベド）が0.24という数値が仮定されています。これを基に、ナルサワの直径は約3.92キロメートルと推定されている一方、兵庫県立大学は3.3キロメートルとしており、メディアでは約4.8キロメートルとの報道もなされています。

名称の歴史

ナルサワには、発見当初「1989 WZ1」という仮符号が付けられていました。また、発見の4日前に岐阜県の可児市で、さらに前日の11月28日にはアメリカのパロマー天文台でも観測されていたことから、過去の観測記録も存在します。1998年3月1日、ヨーロッパ南天天文台による観測の結果、同じ小惑星が「1998 EB13」という仮符号を持つことが明らかになりました。

発見から長い間固有名は持たなかったナルサワですが、2023年11月8日に国際天文学連合（IAU）の小天体の命名に関するワーキンググループ（WGSBN）によって、正式に「Narusawa」という名前が承認されました。この名前は、兵庫県立大学の自然・環境科学研究所に所属する鳴沢真也にちなんでいます。通常、小惑星への命名権は発見者に与えられますが、発見から10年以上経過した場合は他者からの命名が可能です。このため、東亜天文学会の理事長である山田義弘が提案した名前が受け入れられ、鳴沢が天文学の普及活動や研究への貢献にちなんで命名されたのです。

まとめ

ナルサワは、これまでの観測を通じてその存在が確認され、多くのデータが集まっています。2023年の名前の承認は、鳴沢の業績を認めるものであり、小惑星の研究や理解を深める役割も果たしています。今後の観測や研究によって、ナルサワのさらなる詳しい情報が明らかになることが期待されます。

もう一度検索