ニュージーランドアシカ

ニュージーランドアシカ

ニュージーランドアシカ（Phocarctos hookeri）は、ネコ目（食肉目）アシカ科に分類される鰭脚類の一種で、ニュージーランドアシカ属に唯一属する固有種です。

分類と進化

本種は、他のアシカ類とは異なる独自の進化を遂げてきました。現在ニュージーランド南島に生息するアシカは、かつてマオリ族によって絶滅させられたアシカとは遺伝的に異なる系統であることが判明しています。また、更新世に生息していたアシカは、ニュージーランドアシカともオーストラリアアシカとも異なる種であったと考えられています。

分布

ニュージーランドアシカは、ニュージーランドの固有種であり、キャンベル島、オークランド諸島、スネアズ諸島などの亜南極諸島に分布しています。まれにオスが南島やオーストラリアのマッコーリー島へ迷行することがあります。

形態

成獣のオスは全長約220cm、体重300-400kgに達し、メスは全長約180cm、体重140-230kgほどです。吻端は太く、額は突出していません。幼獣は暗褐色の体毛に覆われています。オスの成獣は全身が黒褐色の体毛で覆われ、鬣が発達して肩部にまで達します。一方、メスの成獣は背面が灰褐色、腹面が淡褐色の体毛で覆われています。

生態

ニュージーランドアシカは、主に海岸に生息し、大規模な回遊は行いません。食性は動物食で、魚類、甲殻類、軟体動物などを捕食しますが、ペンギンを食べることもあります。主に夜間に水深30mまで潜水して獲物を捕らえます。

繁殖形態は胎生です。オスは10-11月、メスは11-12月に砂浜に上陸し、主に砂浜で交尾を行います（水中で交尾することもあります）。メスは出産後1週間で発情し、再び交尾を行います。12月から翌1月にかけて、砂浜で1回に1頭の幼獣を産みます。授乳期間は6-8ヶ月ですが、1年に達することもあります。

人間との関係

ニュージーランドアシカは、かつて毛皮や油を目的とした乱獲により生息数を激減させました。1970年代には、生息数が3000-4000頭と推定されています。

現在、南島などに生息しているアシカは、亜南極諸島からの移住個体の子孫であり、遺伝的に異なる本来のアシカは、北島・南島・チャタム諸島などでマオリ族の狩猟によって絶滅しました。同様の理由で絶滅したワイタハペンギンの生態的地位（ニッチ）は、後に亜南極諸島から移住したキンメペンギンによって再現されました。

参考文献

大隅清治監修 D.W.マクドナルド編 『動物大百科2 海生哺乳類』、平凡社、1986年、100、105-106頁。
小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『レッド・データ・アニマルズ8 太平洋、インド洋』、講談社、2001年、28-29、164頁。

外部リンク

IUCN 2008 Red List - Home Page -
https://www.iucnredlist.org/
* Gales, N. 2008. Phocarctos hookeri. In: IUCN 2008. 2008 IUCN Red List of Threatened Species.

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