ニーデ県

ニーデ県：歴史と自然が織りなすトルコの隠れた魅力

トルコの中南部、中央アナトリア地方に位置するニーデ県は、その小さくも豊かな県域に、多様な魅力が詰まっています。人口約33万人のこの県は、田園風景が広がり、その中心都市であるニーデ市には約10万人が暮らしています。人口は微増と微減を繰り返していますが、その変化は緩やかです。県域面積は7,321平方キロメートルで、周囲をネヴシェヒル県、カイセリ県、アダナ県、メルスィン県、コンヤ県、アクサライ県に囲まれています。

地理：山々と平原が織りなす景観

ニーデ県は、西部を除く三方をトロス山脈に囲まれており、その中でもハッサン山は特に有名です。西部はエメン平原が広がり、隣接するコンヤ平原へと続いています。火山性の土壌は農業に適しており、リンゴとジャガイモが主要な生産物となっています。山々に囲まれた高地のため、乾燥した冷涼な気候が特徴で、冬には北風が雪を運び込みます。年間降水量は平均0.9mmと少ないですが、その多くは4月に集中し、7月と8月はほとんど雨が降りません。そのため、山腹は露出した部分が多く、森林は高地に限定されています。ニーデという名前は、古代にニキタやニヒタと呼ばれていたものが変化したと考えられています。

歴史：多様な文化が交錯する地

この地域には、新石器時代の紀元前8000年～紀元前5000年頃から人が住み始めたとされており、ボール地区での墓墳の発掘がその証拠です。また、チャマルドゥでは錫の鉱脈跡も見つかっています。その後、ヒッタイトの支配下に入り、紀元前800年頃まで続きました。ニーデに関する最古の文献記録は、ヒッタイトの歴史家ゲルブが残したアンダヴァルのサルニアス王のルウィ語碑文です。

その後、アッシリア、フリギア、ギリシャ、ペルシャ、ローマといった様々な勢力に占領され、ローマ時代にはティヤナが宮殿と水道が整備された都市として栄えました。1166年にセルジューク朝トルコによって占領されるまで、ビザンチン・ローマの東の首都としてローマの文化が残っていました。13世紀初頭には、ニーデはアナトリア最大級の都市となり、多くのモスクや墓が建設されました。その後、オスマン帝国が1471年に、トルコ共和国が1920年にこの地を支配下に置きました。

経済：農業と観光の融合

ニーデ県は、農業が盛んなコンヤ県と地中海に面するアダナ県の中間に位置しています。また、カイセリ空港やネブシェヒル空港に近く、カッパドキアにも近いため、観光業も盛んです。特にリンゴの生産が有名で、ジャガイモ、キャベツ、穀物、砂糖大根なども重要な作物です。ニーデ県はトルコ最大のジャガイモ生産地であり、リンゴの栽培面積も最大規模です。酪農や牧畜も重要な産業であり、養蜂やマス養殖も行われています。

豊かな伝統文化も特徴で、歌や踊り、そして「ボールの東の市場が終われば、ロバに乗ってニーデに行く」という諺は「早起きは三文の徳」に似た意味を持ちます。また、プラムを使って客をもてなす習慣も残っています。

観光：自然と歴史を満喫する

トロス山脈のアラダー山やボルカル山は、ウィンタースポーツの人気スポットです。高地の牧草地や山村でのハイキングやトレッキングも楽しめます。特に春の花が咲く時期は格別です。アラダー山はトルコで最も有名な登山地の一つであり、チャマルドゥ村からアクセスできます。ボルカル山には、7kmのスキーコースや火山湖があり、春には山草が咲き乱れます。また、カッパドキアの一部でもあり、歴史的な場所も多く、教会、モスク、地下都市などが点在しています。特に軟質の火山岩に作られた避難所は必見です。その他、ティヤナの都市やローマ時代の水道管もボールで見ることができます。

ニーデ県には温泉も多く、ホテルやインフラが整備されれば、より多くの観光客が訪れることが期待されています。

下位自治体

ニーデ県には以下の自治体があります。

ニーデ（Niğde）
アルトゥンヒサール（Altunhisar）
ボール（Bor）
チャマルドゥ（Çamardı）
チフトリク（Çiftlik）
ウルクシュラ（Ulukışla）

ニーデ県は、その豊かな自然と歴史、文化が融合した魅力的な場所です。ぜひ一度訪れて、その魅力を体験してみてください。

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