メルスィン県

メルスィン県の概要

メルスィン県は、トルコ共和国の南部に位置し、地中海地方に属する県です。西はアンタルヤ県、東はアダナ県に隣接し、北部はカラマン県、コンヤ県、ニーデ県と接しています。県域はメルスィン大都市自治体と同一であり、県都はメルスィン市です。その他、タルスス、サント・パウロ、シリフケなどの主要都市があります。

以前はイチェル県として知られていましたが、2002年に県都名に合わせてメルスィン県に改称されました。この変更は、県番号の33が、旧県名イチェルがアルファベット順で33番目であったことに由来しています。

地理

県の大部分（約87%）は山地であり、中央トロス山脈の一部を形成しています。最高地点はボルカー地区のメデツィズ山です。交通の要所として、多くの中央アナトリア地方へのルートが県内を通過します。標高700～1500mの間には、多くの高原と小さな平地が点在しています。

海岸線には、山から流れた砂が堆積してできた広大な平野が広がっています。特に、トロス平野には肥沃な土地が広がり、農業が盛んです。主要な河川としては、ゴクス川とトロス川があり、多くの小河川が湖に流れ込んでいます。海岸線には砂浜が多く、美しい景観を形成しています。

気候は典型的な地中海性気候で、夏は非常に暑く乾燥し、冬は温暖で雨が多いのが特徴です。特に冬には大雨による洪水が発生することもあります。山岳部では雪が降りますが、海岸部では雪はほとんど見られません。

メルスィン市は、トルコでも有数の活発な経済活動が行われている地域です。GAPプロジェクトによって港湾の経済活動が活発化し、トルコ地中海沿岸最大の港湾都市として発展しました。石油精製施設や自由貿易地域も設置され、ガラス、洗剤、肥料などの工場がメルスィン市とアダナ市を結ぶ道路沿いに立地しています。これらの経済活動が周辺の都市を発展させ、大学などの近代的な施設も整備されています。また、2010年からは、県西部ギュルナル郡ビュユケジェリ町で、トルコ初となるアックユ原子力発電所の建設プロジェクトがロシアの支援のもと進められています。

統計によると、メルスィン県の人口の半分は24歳未満で、そのうち68%がメルスィン生まれです。識字率は89%であり、中等学校卒業率は男性が43%、女性が27%です。幼児死亡率は0.48%と低く、都市人口は全体の2.42%、人口密度は1キロ平方メートルあたり約117人です。

観光

メルスィン県は、隣接する県に比べると遺跡や観光名所は少ないものの、トルコ国内からは観光客が訪れています。山岳部には、治癒効果があると言われる天然水の湧き出る泉があります。ただし、夏は海岸部だけでなく山岳部も非常に高温多湿になるため、観光には適していません。

歴史

古代、この地域はキリキア地方の一部でした。都市の名前は、フェニキア人またはアッ[[シリア]]人の王子にちなんで名付けられたとされています。古くからシリアやメソポタミアと中央アナトリアを結ぶ交易路の要所として栄えてきました。

ギリシャの地理学者ストラボンは、この地域を「山地のキリキア」と「平地のキリキア」に分け、それぞれの首都をトロスとメルスィン港としていました。

1933年までは、メルスィン県とイチェル県（県都：シリフケ）の2つの県が存在しましたが、合併によって県名がイチェル県となり、県都はメルスィンに置かれました。1993年にはメルスィン市が大都市自治体に指定され、2002年にイチェル県がメルスィン県に改称されました。2004年には、大都市自治体の指定範囲が知事室から半径30kmに拡大され、2012年の行政区画改編により、メルスィン県全域が大都市自治体となりました。

下位自治体

メルスィン県には、以下の13の下位自治体があります。

アクデニズ（Akdeniz）
アナムル（Anamur）
アイドゥンジュク（Aydıncık）
ボズヤズ（Bozyazı）
チャムルヤイラ（Çamlıyayla）
エルデムリ（Erdemli）
ギュルナル（Gülnar）
メズィトリ（Mezitli）
ムト（Mut）
スィリフケ（Silifke）
タルスス（Tarsus）
トロスラル（Toroslar）
* イェニシェヒル（Yenişehir）

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