ノルウェー・クローネ

ノルウェー・クローネ（norsk krone）は、ノルウェーの公式通貨であり、ISO 4217コードではNOK、またはkrと表記されます。補助単位はオーレ（øre）で、1クローネは100オーレに相当します。クローネという名称は王冠を意味し、デンマークやスウェーデンの通貨と同様のルーツを持ちます。

概要

ヨーロッパではユーロへの通貨統合が進む中、ノルウェーはEUに加盟していないため、スイス・フランと共に独立した通貨として存在し続けています。ノルウェー経済は、原油や天然ガスの輸出に大きく依存していますが、これらの決済は主に米ドルで行われるため、原油価格とノルウェークローネの直接的な連動性は低いとされています。むしろ、ユーロとの関連性が強いと見られています。

国際的な評価として、ノルウェー・クローネは比較的安定した通貨とされています。対円レートでは、1994年から2006年の間には11円台から19円台で推移し、特に2003年から2006年にかけては対ユーロ、対米ドル、対円全てにおいてクローネ高の傾向が見られました。しかし、2008年のサブプライムショック以降は円高が進行しています。

現在、ノルウェーではキャッシュレス化が急速に進んでおり、クレジットカードや電子マネーなどの電子決済が主流となっています。この傾向はノルウェーだけでなく、他の北欧諸国にも共通して見られます。

歴史

ノルウェークローネは、1875年にデンマーク、スウェーデン、ノルウェーによって結成されたスカンジナビア通貨同盟の発足に伴い導入されました。この時の金平価は、純金1グラム=2.48クローネと定められました。

紙幣

過去には、A5サイズほどの大型紙幣や、正方形に近い形の大判紙幣が流通していました。現在では発行されていない5クローネや10クローネ紙幣も存在しましたが、現在は50、100、200、500、1,000クローネの5種類の紙幣のみが流通しています。しかし、キャッシュレス決済が主流となっているため、高額紙幣は現金取引でもあまり使われなくなっています。

以前の紙幣には、ナンセンやビョルンソンなどのノーベル賞受賞者、数学者のアーベル、劇作家のイプセン、音楽家のグリーグといった文化人が描かれていました。

2017年から2019年にかけて、現在の第8次紙幣が導入されました。このシリーズでは、人物の肖像は廃止され、代わりに以下のデザインが採用されています。

50クローネ（緑）: 126mm×70mm、ユートゥベーラ灯台（2018年10月発行）
100クローネ（赤）: 133mm×70mm、ゴクスタ船（2017年5月発行）
200クローネ（青）: 140mm×70mm、鱈（2017年5月発行）
500クローネ（茶）: 147mm×70mm、レスキュー救命艇RS14スタヴァンゲル（2018年10月発行）
1000クローネ（紫）: 154mm×70mm、海の波（2019年11月発行）

第7次紙幣（以下）は2018年から2020年の間に全て無効となり、それ以前の旧紙幣も現在では使用できません。

50クローネ（緑）: 128mm×60mm、ペテル・クリスティン・アスビョルンセン（動物学者、民話研究家）（1997年1月発行、2004年3月改版）
100クローネ（赤）: 136mm×65mm、キルステン・フラグスタート（ソプラノ歌手）（1997年9月発行、2003年3月改版）
200クローネ（青）: 144mm×70mm、クリスチャン・ビルケランド（物理学者）（1994年11月発行、2002年4月改版）
500クローネ（茶）: 152mm×75mm、シグリ・ウンセット（小説家、1928年ノーベル文学賞受賞者）（1999年6月発行）
1000クローネ（紫）: 160mm×80mm、エドヴァルド・ムンク（画家）（2001年6月発行）

硬貨

現在流通している硬貨は、1、5、10、20クローネの4種類です。このうち、1クローネと5クローネは穴が開いているのが特徴で、これは日本の五円玉やデンマークの硬貨と同様です。デザインは、1クローネがハーラル5世の紋章、5クローネが聖オーラフ勲章、10・20クローネがハーラル5世の横顔となっています。

かつて発行されていた50オーレ硬貨は、2012年に流通が停止され、2022年末をもって他の額面との交換も終了し、現在は完全に失効しています。そのため、ノルウェー・クローネの補助単位としてのオーレは、現在では現金の単位としては使われていません。

脚注

関連項目

クローネ

外部リンク

為替レート

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