ハトムギ

ハトムギ（Coix lacryma-jobi var. ma-yuen）

概要

ハトムギはイネ科ジュズダマ属に属する穀物で、アジア地域では主食や様々な食品として利用されています。特にハトムギ茶として、また成分の薏苡仁（ヨクイニン）は生薬として知られています。別名はシコクムギやトウムギであり、中国での呼称は薏苡（よくい）です。学名の「ma-yuen」は、後漢時代の将軍、馬援に由来し、彼が交趾郡（現在のベトナム）で発見し、中国に持ち帰ったとされています。

特徴

ハトムギは、キビ亜科ウシクサ連に属し、特にトウモロコシやモロコシに近縁です。栽培は160日ほどかかり、主に8月から10月が花期です。成熟した果実は収穫後に日干しされ、デンプン質は糯性であるため、独特の食感を持ちます。日本には古代から存在しており、奈良時代には栽培されたとされています。

一年草で、成長すると高さ約100〜150センチメートルになります。葉は互生し、花穂は雌性小穂と雄性小穂に分かれています。果実は硬く、ジュズダマ（野生種）とは異なり、もろい性質を持っています。古くから栽培されてきた作物であり、特にアジアの一部では重要な主食としての地位を占めています。

栽培法

春に播かれ多肥栽培が推奨され、休耕地でも育てられます。ハトムギの起源はインドシナとされ、東南アジアの根栽農耕文化圏に含まれます。日本では、6世紀の頃からの遺構で種子が発見されており、奈良時代までに栽培されていたと考えられます。

日本の主要な栽培地域は東北・中国地方や北陸地方で、各地で系統の比較が行われています。「あきしずく」が最も生産量が多く、栽培地は岩手県や栃木県、福岡県など多岐にわたります。栽培の際は、収量を安定させるために水はけの良い条件で育てることが重要です。

利用方法

ハトムギは主食として米に混ぜたり、ハトムギ茶として飲まれます。エキスは皮膚に良い保湿作用や美白効果があり、美容製品に使用されることもあります。果実はモチ性があり、粒食以外にも、粉にして餅や団子を作ることができます。炊飯する際には、事前に浸水と下煮を行うと火の通りが良くなります。

食用としての利用

果実はハト麦として知られ、特有の香りと味わいがあります。乾燥させて揚げたアラレとして楽しむことも可能です。また、粉にしたハト麦粉は、フライ料理の衣や白玉団子に使われます。食用としてのみならず、ハトムギは冷やす効果があり、夏バテを防ぐ食材としても注目されています。

薬用効果

漢方では、ハトムギの皮を剥いだ種子を薏苡仁と称し、様々な効能があるとされています。滋養強壮や利尿、抗腫瘍作用があると信じられ、秋に収穫し、乾燥した後に薬として利用されます。民間療法では煎じて飲む方法や、米粥に混ぜて食べる方法が一般的です。皮膚や関節の健康に効果があるとされています。

注意点

妊婦の使用においては、昔から流産を引き起こすという誤解が存在しますが、現代の研究ではそうしたリスクは確認されておらず、安全に利用できることが示唆されています。ハトムギを含む製品は、適切な使用量を守って楽しむことが推奨されています。

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