ハーモニー (ISS)

ハーモニー (Harmony)

国際宇宙ステーション（ISS）を構成する基幹モジュールの一つに「ハーモニー」があります。英語名はHarmonyで、結合モジュールとしては2番目にISSに接続されたことから「ノード2」（Node 2）とも呼ばれています。ISSにおける各国モジュールや補給船を繋ぐ、中枢的なハブの役割を果たしています。

概要

ハーモニーは、アメリカ航空宇宙局（NASA）と欧州宇宙機関（ESA）の合意に基づき、イタリアのアレーニア・エアロスパシオ社で建造されました。建造はESAが行いましたが、所有権はNASAにあります。これは、ESAがコロンバスなどの機器をスペースシャトルで打ち上げる費用を相殺するためでした。

ISSで最初に接続されたユニティと同様に、ハーモニーは円筒形です。特徴は、前後、左右、上下の計6箇所にある共通結合機構（CBM）です。これにより、他のモジュールや宇宙船との結合を可能にし、ISSの拡張と機能統合の中心となります。内部は与圧されており、最大8台の国際標準実験ラック（ISPR）サイズの機器を設置できます。ここには、「きぼう」や「コロンバス」へ電力を供給するラックや、宇宙飛行士用の個室が4室設けられています。ハーモニーはユニティより約1.5倍長い構造です。

ハーモニーは、2007年10月にスペースシャトル「ディスカバリー」（STS-120）によってISSへ運ばれ、設置されました。

接続されているモジュール

ハーモニーは、その多方向の結合ポートを通じて、ISSの主要な部分を連結しています。

デスティニー（米国実験棟）: 2007年11月、後方ポートに結合されました。
コロンバス（欧州実験棟）: 2008年2月、右舷ポートに結合されました。
きぼう（日本実験棟）: 2008年6月、左舷ポートに結合されました。

これらの実験棟はハーモニーを介して接続され、ISSの国際的な科学研究活動の基盤となっています。また、ハーモニーの前方ポートにはPMA-2が取り付けられ、スペースシャトルをはじめとする宇宙船のドッキングに利用されました。

一時的に接続された例としては、「きぼう」船内保管室（ELM-PS）（2008年3-6月、上部）や、宇宙ステーション補給機（こうのとり）2号機（HTV2）（2011年2-3月、上部）があります。

定期的にドッキングする補給機

ハーモニーの下部ポートは、ISSへの物資補給を行う様々な宇宙船が定期的に結合する窓口です。

多目的補給モジュール（MPLM）: スペースシャトルで運ばれ、物資補給・回収を行いました。
宇宙ステーション補給機（HTV「こうのとり」）: 日本の補給機で、カナダアーム2で捕捉後結合しました。
ドラゴン補給機（Dragon）: スペースX社による商業補給船で、COTSに基づき貨物輸送を担います。
* シグナス補給機（Cygnus spacecraft）: オービタル・サイエンシズ社（現ノースロップ・グラマン社）による商業補給船で、COTSの下で貨物輸送を行います。

これらの補給船により、ISSの運用に必要な物資がハーモニー経由で供給されています。

接続を予定していたモジュール

ハーモニーへの接続が計画されながら実現しなかったモジュールもあります。代表例は「セントリフュージ実験モジュール」です。人工重力発生の米実験棟で、日本で建造が進められましたが、ISSの費用やシャトル計画の変更によりキャンセルされました。

まとめ

ハーモニーモジュールは、ISSの中央に位置し、各国の実験棟や多様な補給船を連結する不可欠なハブです。その多機能な結合ポートと内部設備は、ISSの科学、技術、運用を支える上で極めて重要な役割を果たしています。ノード2としてのハーモニーは、ISS構造における中心的な結合要素です。

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