ハーロン・ブロック

ハーロン・ヘンリー・ブロック（Harlon Henry Block、1924年11月6日 - 1945年3月1日）は、アメリカ海兵隊の軍人であり、第二次世界大戦中の硫黄島の戦いで、摺鉢山に星条旗を掲げた6人の兵士の一人として歴史に名を刻みました。

生い立ち

1924年11月6日、ハーロンはテキサス州デウィット郡ヨークタウンで生まれました。ブロック家は、テキサス州南部のリオ・グランデ・バレーで農場を経営し、セブンスデー・アドベンチスト教会（SDA）の熱心な信者でした。ハーロンは幼少期からSDAの学校に通い、飛び級を認められるほどの学業優秀者でしたが、高校2年生の時に退学。この出来事を機に、一家は近隣のウェスラコに転居しました。他の兄弟がSDAの学校に通い続ける中、ハーロンは地元の公立高校に進学しました。

公立高校ではアメリカンフットボールに打ち込み、チームのスター選手として活躍。1942年秋、ハーロンはチームメイトと共に海兵隊への入隊を決意します。母親のベルはハーロンの入隊に最後まで反対しましたが、父親のエドの説得により、1943年1月18日、ハーロンは海兵隊に入隊しました。

軍歴

入隊後、ハーロンはサン・ディエゴで落下傘訓練を受け、1943年3月22日に落下傘兵記章を取得しました。所属部隊は11月15日にニューカレドニア島に到着し、再編と訓練を重ねます。12月21日にはブーゲンビル島に上陸し、日本軍と交戦。その後、部隊は1944年1月12日にブーゲンビル島を離れ、2月14日にサン・ディエゴへ帰還しました。落下傘部隊はサン・ディエゴで解散となり、ハーロンは30日間の休暇中にテキサスへ帰省しました。

硫黄島の戦い

1944年3月、ハーロンは第5海兵師団第28海兵連隊第2大隊E中隊に転属となり、半年間ペンドルトン基地で訓練を受けました。部隊は9月19日にサン・ディエゴを出港し、10月にハワイ島のタラワ基地に到着。ここで実戦的な訓練を積みました。

1945年1月、部隊はタラワ基地を出発し、ホノルルで数日間の休暇を与えられました。ハーロンはここで戦友たちと再会し、タラワの戦いで負傷した仲間を見舞いました。ホノルルを離れた部隊は、テニアン島で上陸演習を行い、2月19日、ハーロンは硫黄島に上陸しました。2月23日、ハーロンはアイラ・ヘイズ、マイケル・ストランク、ハロルド・ケラー、フランクリン・スースリー、ハロルド・シュルツと共に摺鉢山山頂に星条旗を掲げました。

戦死

1945年3月1日、ハーロンは分隊長のマイケル・ストランクの指揮下、硫黄島西部の千鳥ケ浜付近で作戦行動中でした。ストランク戦死後、ハーロンは分隊長代理として指揮を執りました。夕方、部下に蛸壺壕を掘るよう指示し、見回り中に近くで砲弾が炸裂。ハーロンは「やつらにやられた！」(They killed me!)と叫び、絶命しました。

ハーロンの遺体は硫黄島の共同墓地に埋葬されましたが、1947年秋に故郷の墓地に改葬されました。葬儀では、ハーロンの棺を乗せた馬車が街のメインストリートを通る大規模なものでした。葬列には離婚して街を離れていた母のベルや、かつてのチームメイトたちが参列し、2万人の群衆が見守りました。

写真の6人目と認められるまで

硫黄島の星条旗を掲げる写真に写る6人の身元は、写真公開後すぐに大統領命令で調査されました。当初、レイニー・ギャグノンが5人の身元を証言しましたが、6人目をハーロンではなくヘンリー・オリバー・ハンセンと誤って証言したため、報道されてしまいました。アイラ・ヘイズが指摘するも、その指摘は黙殺されてしまいます。しかし、ハーロンの母ベルは、写真に写る6人目が自分の息子だと信じて疑いませんでした。

1946年5月、アイラはハーロンの実家を訪ね、ハーロンが6人目の旗掲揚者であると告げました。ハーロンの両親は地元選出の下院議員に手紙を送り、その議員が海兵隊総司令官に問い合わせました。調査の結果、1947年1月15日、ヴァンデグリフト総司令官はハーロンが6人目の旗掲揚者であることを正式に認めました。

ハーロン・ブロックを演じた俳優

ベンジャミン・ウォーカー 『父親たちの星条旗』（2006年）

脚注

注釈

出典

参考文献

ジェームズ・ブラッドリー／ロン・パワーズ著, 島田三蔵訳（2002年）.『硫黄島の星条旗』, 文春文庫, 文藝春秋社. ISBN 4-16-765117-3

関連項目

硫黄島の星条旗
父親たちの星条旗

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