バイ・デザイン

バイ・デザイン株式会社は、かつて日本で低価格な薄型テレビを販売していた企業です。独自のビジネスモデルで注目を集めましたが、2011年に破産しました。

概要

2003年、飯塚克美によって設立されました。飯塚氏は、デルコンピュータやアキアといったパソコンメーカーの社長を歴任した人物です。バイ・デザインは、自社で製造工場を持たないファブレス形態を採用し、アジア各地の協力メーカーに生産を委託することでコストを削減しました。また、広告宣伝を自社ウェブサイトのみに限定することも、低価格戦略の一環でした。製品の多くは中国で製造され、大手テレビメーカーの垂直統合型に対し、水平分業型のビジネスモデルが特徴でした。

主な取扱製品は、液晶テレビ、プラズマテレビ、DVDプレーヤー、一体型液晶テレビで、サイズは10.2型から50型まで幅広く展開していました。大手家電メーカーがデジタルチューナー搭載機種に移行する中、バイ・デザインはアナログチューナー搭載製品を長らく販売し続けました。これらの製品は、ハイビジョンに対応していなかったものの、BtoB市場、特にカラオケ店、病院、店頭用インフォメーションディスプレイなどで活用されました。

2007年6月には、当時としては業界最多となる4つのHDMI端子を搭載した、地上・BS・110度CSデジタル放送対応の42型フルハイビジョン液晶テレビを発売しました。当初、総務省が定めた「2011年アナログテレビ放送終了」マークを使用していませんでしたが、2008年からは同マークを使用するようになりました。破産時には、24型から16インチの液晶テレビを販売しており、最後の製品は2010年6月に発売された22型テレビでした。

破産に至る経緯

2004年1月27日放送のテレビ東京『日経スペシャル ガイアの夜明け』で、飯塚社長と伊豆田伸吾取締役、資本金10万円（当時）のバイ・デザインが取り上げられ、創業当時の薄型液晶テレビ製造販売の戦略と苦闘が紹介されました。2005年12月期には年売上高約54億6,500万円、2006年12月期には年売上高約75億円を計上するなど、業績は好調でした。

しかしその後、従業員の前会社の機密漏えい訴訟によるアメリカ市場での販売中止や、大手メーカー製品の低価格化などにより、2007年12月期には年売上高約61億円で約5億円の最終赤字に転落しました。さらに、販売業務への特化を図るために業務提携を結んだゼンテック・テクノロジー・ジャパンの不適切経理問題も発覚し、経営状況は悪化しました。

2008年5月、純粋持株会社化を図り、「バイ・デザイン・ホールディングス」に社名を変更。薄型テレビ事業を継承した「バイ・デザイン」を新設分割し、再スタートを切りました。しかし、事業資金の確保に苦戦し、販売は伸び悩み、2009年12月期の年売上高は約18億7,100万円と低迷しました。別ブランドでの販売やデジタルフォトフレームの販売で一時的に販売を伸ばしましたが、赤字を解消するには至らず、支払いに支障をきたし、2011年になってからは事実上営業を停止していました。

2011年1月26日、東京地方裁判所よりバイ・デザイン・ホールディングスとともに破産手続開始決定を受けました。両社とも費用不足のため破産廃止となり、バイ・デザイン・ホールディングスは2011年9月1日付、バイ・デザインは2012年3月1日付で完全消滅しました。

テレビ番組

日経スペシャル ガイアの夜明け 敗者復活 〜ベンチャー社長の再挑戦〜（2004年1月27日、テレビ東京）
日経スペシャル カンブリア宮殿 「他社の力を使え！ ～格安薄型テレビの魔術師～」（2007年6月11日、テレビ東京）- 出演：社長 飯塚克美

関連項目

* VIZIO - 同業のファブレス液晶テレビメーカー

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