パルヴァーン州

パルヴァーン州：歴史と文化が息づくアフガニスタンの要衝

パルヴァーン州は、アフガニスタン東部に位置する州であり、その面積は5,715平方キロメートル、人口は約63万人です。州都はチャーリーカールで、この地域は古くから交通の要衝として重要な役割を果たしてきました。

地理と自然

パルヴァーン州の地形は、南東部のショマリ平野と、それ以外のヒンドゥークシュ山脈が中心です。州内にはサラン峠やシバル峠などがあり、主要な交通路が通っています。平野部にはゴールバンド川、サーラン川、パンジシール川が流れ込み、豊かな田園風景を形成しています。また、軍事的な要衝としても知られ、州都の南にはバグラーム空軍基地があります。

歴史

パルヴァーン州の歴史は古く、古代にはインダス文明とメソポタミア文明を結ぶ交易路の一部でした。紀元前6世紀には、現在のバグラーム郡周辺にガンダーラの都市と砦がありましたが、アケメネス朝のキュロス2世によって破壊されました。その後、アレクサンドロス3世によって再建され、コーカサスのアレクサンドリアと名付けられました。この街は、グレコ・バクトリア王国やクシャーナ朝の古都として繁栄しました。

7世紀には、迦畢試国（かぴしこく）がこの地に存在し、隋や唐に使節を送りました。玄奘三蔵もこの地を訪れ、多くの寺院や仏教文化に触れています。迦畢試国は、農産物が豊かで交易が盛んな国際都市でした。

中世には、チンギス・カンの侵攻により、この地域は戦乱に見舞われました。13世紀には、ジャラールッディーン・メングベルディーがモンゴル軍を破ったパルワーンの戦いが起こりました。

冷戦時代には、パルヴァーン州はカーブル州の一部でしたが、1957年に独立した州となりました。アメリカ同時多発テロ事件以降、2004年にはパンジシール州が独立し、大統領選挙も行われました。2012年には、治安権限がアフガニスタン軍に移譲されています。

行政区分

パルヴァーン州は、1市9郡で構成されています。主要な都市としては、州都のチャーリーカール、バグラーム郡、シヤーフギルド・ゴールバンド郡、ジャバル・ウス・サラージ郡などが挙げられます。

治安

州内にあるバグラム空軍基地は、テロの標的になることが多く、治安上の課題となっています。過去には、州政府庁舎での自爆テロや、NATO軍部隊に対する攻撃が発生しています。

産業

パルヴァーン州の主要産業は農業です。桃やグレープフルーツ、リンゴ、アーモンド、ザクロなどが生産されています。特に、桃とグレープフルーツは全国的に見ても生産量が多く、重要な収入源となっています。

住民

パルヴァーン州の住民は、主にダリー語とパシュトゥー語を話します。識字率は低いものの、州都にはパルヴァーン大学があります。

交通

州内には、アジアハイウェイ7号線が南北に走っており、マザーリシャリーフやカーブルと繋がっています。また、7号線から分岐する77号線は、バーミヤーンやヘラートへと続いています。バグラーム空軍基地には空港があります。

まとめ

パルヴァーン州は、豊かな自然、歴史的な遺産、多様な文化を持つ地域です。交通の要衝として、古代から様々な文明が交錯し、重要な役割を果たしてきました。現在も、農業を基盤とした生活が営まれており、住民は伝統を守りながら生活しています。しかし、テロの脅威や治安上の課題も抱えており、今後の安定と発展が望まれます。

この地域を訪れる際には、その歴史と文化に触れ、この地の重要性と魅力を感じていただければ幸いです。

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