バンドゥーラ

バンドゥーラの魅力

バンドゥーラ（ウクライナ語: бандура）は、ウクライナにおける民族楽器であり、その美しい音色で多くの人々に愛されています。この楽器は弦楽器の一種であり、リュートの仲間に分類されます。バンドゥーラはリュートとツィターを組み合わせたような形状を持ち、チェンバロとギターの中間のような独特な音色を生み出します。全体として50から60本の弦が備わっており、これらは半音階にわたって調律され、5オクターブの範囲を持ちます。

演奏方法としては、楽器を膝の上に置き、高音域は右手で、低音域は左手で弾き分けるスタイルが一般的です。この演奏方法は、聴く者の心に深く響く旋律を生み出し、古くから多くの音楽家や愛好者に支持されてきました。

バンドゥーラの歴史

バンドゥーラは、ウクライナの民俗楽器であるコブザやグースリの影響を受けていると考えられています。特に「コブサ」という名前は、バンドゥーラの同義語としても使われてきた歴史があります。クラシカル・バンドゥーラは15世紀に成立したとされ、1441年のポーランドの年代記にもバンドゥーラの奏者が登場しています。この楽器は、コサック時代以降に特に盛んに演奏されるようになり、主に盲目の演奏者たちであるコブザールたちが全国を巡りながら、叙事詩であるドゥーマを歌い上げていました。

19世紀後半にはOstap Veresaiが著名なコブツァーリとして活躍し、彼の演奏はドヴォルザークのピアノ三重奏曲第4番（通称ドゥムキー）に影響を与えるなど、幅広く浸透しました。しかし、ウクライナがソビエト連邦の一部であった1930年代に、スターリンによってコブツァーリたちは迫害を受け、その歴史に暗い影を落としました。

現代のバンドゥーラ

現代において、バンドゥーラはなおも多くの演奏者によって受け継がれています。日本に住む奏者ナターシャ・グジーは、バンドゥーラがかつて盲人によって職業的に演奏されたこと、また日本の琵琶との共通点について語っています。これは、文化の交わりを示す興味深い事例であり、バンドゥーラが持つ独特の魅力をさらに高めています。

バンドゥーラには、時代とともにその構造や音色が変化するいくつかの種類があります。主なタイプには、スタロスヴィツカ（クラシカル・バンドゥーラ）、ハルキウ（ハリコフ）・バンドゥーラ、キーウ（キエフ）・スタイル・バンドゥーラなどがあります。これらの種類は、地域や演奏スタイルに応じて異なる特性を備えており、リスナーに多様な音楽体験を提供します。

著名な演奏者

名高いバンドゥーラの演奏者には19世紀後半に活躍したOstap Veresaiや、日本で活動するナターシャ・グジー、カテリーナ、オクサーナ・ステパニュック（ソプラノオペラ歌手としても活動）などがいます。彼ら全員がバンドゥーラの伝統を守り続け、次世代へと繋いでいるのです。

この楽器の魅力は、単なる音色だけでなく、その背後にある歴史や文化の豊かさ、演奏する人々の情熱にあります。バンドゥーラは、ウクライナの心を代表する楽器であり、その音楽は世界中の人々に感動を与え続けています。

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