パンピロ・フィルポ

パンピロ・フィルポ："パンパの野牛"と呼ばれた異端のプロレスラー

パンピロ・フィルポ（本名：Juan Kachmanian）は、1930年4月6日にアルゼンチンで生まれ、2020年1月9日に89歳でこの世を去ったプロレスラーです。彼のリングネームは、アルゼンチンの広大な草原地帯であるパンパに生息する野牛を意味し、その名の通り、野性的で荒々しいファイトスタイルで観客を魅了しました。

原始人ギミックと独特のパフォーマンス

フィルポは、モジャモジャに伸ばした髪と髭、そして野太い唸り声という、まるで原始人のような風貌でリングに上がりました。その悪役ぶりは徹底しており、観客を挑発するようなアグレッシブな姿勢は、多くのファンを熱狂させました。体格的には決して恵まれていたわけではありませんが、その野獣のようなキャラクターは、後のブルーザー・ブロディに影響を与えたと言われています。また、"Oooohhhh Yeaaahh!"という独特のマイクパフォーマンスは、ランディ・サベージも取り入れたことで知られています。

アメリカを主戦場に数々のタイトルを獲得

アルゼンチンでボクシングとレスリングを学んだフィルポは、兵役を経てプロレスラーとしてデビュー。1957年にアメリカに渡り、NWAのテキサス東部地区でイワン・ザ・テリブルというリングネームで活動を開始しました。同年にはNWAテキサス・ヘビー級王座を奪取し、1959年にはNWA世界ジュニアヘビー級王座も獲得するなど、早くからその実力を発揮しました。

1960年代には、パンピロ・フィルポとしてWWWF（後のWWE）にも参戦し、アントニオ・ロッカやブルーノ・サンマルチノといった強豪と対戦。その後は、太平洋岸のテリトリーを主戦場とし、NWAパシフィック・ノースウエスト・ヘビー級王座やNWAアメリカス・ヘビー級王座など、数々のタイトルを獲得しました。

日本での活躍と晩年

フィルポは、1967年に日本プロレスに初来日。その後も数回来日し、ジャイアント馬場やアントニオ猪木といった日本のエースとも対戦しました。その間、アメリカではミッシング・リンクという別名義でも活動し、NWAハワイ・ヘビー級王座を2度獲得しています。

1980年代に入るとセミリタイア状態となり、1986年に引退。引退後は、カリフォルニア州サンノゼで郵便局員として働きながら、静かに余生を送りました。アルゼンチンからアメリカへ渡った当初は英語をほとんど話せなかったものの、後にスペイン語に加え、英語、ドイツ語、フランス語、ポルトガル語を操るマルチリンガルになったというエピソードも残されています。

パンピロ・フィルポの功績

パンピロ・フィルポは、その独特なキャラクターとファイトスタイルで、プロレス界に大きな足跡を残しました。悪役としての徹底ぶり、観客を巻き込むパフォーマンス、そして何よりもプロレスに対する情熱は、多くのファンを魅了し、後世のレスラーたちに大きな影響を与えました。"パンパの野牛"の異名を持つ彼は、プロレス史に名を刻む偉大なレスラーの一人として、永遠に記憶されることでしょう。

得意技

エル・ガリフォ
ベアハッグ
* 噛みつき、かきむしりなどの反則攻撃

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