パース (軽巡洋艦)

HMASパース (D29) : オーストラリア海軍 軽巡洋艦

HMASパースは、オーストラリア海軍が運用したパース級軽巡洋艦のネームシップであり、元々はイギリス海軍の改リアンダー級軽巡洋艦アンフィオン（HMS Amphion）として1936年に就役しました。その後、オーストラリアに貸与され、HMASパースと改名されました。

艦歴

イギリス海軍時代 (HMSアンフィオン)

1931年度計画で建造が決定し、ポーツマス工廠で1933年6月26日に起工、1934年7月26日に進水、1936年6月15日に就役しました。就役後は第6巡洋艦戦隊に編入され、南アフリカへ移動しアフリカ艦隊の旗艦を務めました。1938年末にはイギリスに戻り、改装工事を受けています。

オーストラリア海軍時代 (HMASパース)

1939年6月29日にオーストラリア海軍に購入され、HMASパースとして再就役しました。同年7月26日にオーストラリアへ向けてポーツマスから出航し、ニューヨークでの国際博覧会参加などを経て、第二次世界大戦開戦を迎えます。

第二次世界大戦

開戦後はカリブ海で船団護衛やドイツ商船の逃走阻止に従事しました。1940年2月にはオーストラリアへ向かい、3月31日にシドニーに到着しました。その後、地中海での作戦に参加し、マタパン岬海戦やギリシャ・クレタ島からの撤退作戦を支援しました。1941年5月には爆撃を受け損傷し、アレクサンドリアで修理を受けています。修理完了後はシリア・レバノンでの作戦を支援しました。

1941年後半にはオーストラリアに戻り、整備と対空兵装強化を実施。その後、重巡洋艦キャンベラ (HMAS Canberra, D33) と共にブリスベンへ向かい、船団護衛に従事しました。1942年に入ると、蘭印からの石油確保作戦に参加しますが、シンガポール陥落により作戦は中止。その後、ABDA艦隊に加わり、スラバヤ沖海戦に参加しました。

バタビア沖海戦と沈没

1942年2月27日のスラバヤ沖海戦で連合軍は敗退し、パースは重巡洋艦ヒューストン (USS Houston, CA-30) と共にタンジョン・プリオクへ退避しました。28日、パースとヒューストンはスンダ海峡経由でチラチャップへ向かう途上、日本軍の輸送船団を発見し攻撃を敢行しましたが、日本軍護衛部隊との激戦の末、両艦とも撃沈されました。

その後

パースの乗員353名が戦死し、生存者328名のうち106名が捕虜として泰緬鉄道建設などに動員され死亡しました。戦後まで生き残ったのは218名でした。

HMASパースは、その短い艦歴の中で数々の重要な作戦に参加し、多くの犠牲者を出しました。その勇敢な戦いは、オーストラリア海軍の歴史に深く刻まれています。

参考文献

木津徹 編『写真シリーズ 軍艦の構造美を探る(3) 巡洋艦 WORLD CRUISERS IN REVIEW』株式会社海人社、2007年
木津徹 編『世界の艦船 2010.No.718 近代巡洋艦史』株式会社海人社、2009年
G. HerMon Gill, Australia in the War of 1939–1945. Series 2 – Navy Volume I – Royal Australian Navy, 1939–1942, 1957
M. J. Whitley, Cruisers of World War Two: an International Encyclopedia, Naval Institute Press, 2000, ISBN 1-55750-141-6
Bastock, John (1975). Australia's Ships of War. Cremorne, New South Wales: Angus and Robertson. ISBN 0-207-12927-4.
Cassells, Vic (2000). The Capital Ships: Their Battles and Their Badges. East Roseville, New South Wales: Simon & Schuster. ISBN 0-7318-0941-6.

関連項目

イギリス海軍艦艇一覧
オーストラリア海軍艦艇一覧
ABDA司令部

外部リンク

HMAS Perth (I) | Royal Australian Navy
* "HMAS PERTH 1939-1942"

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