パーパク

パーパク（Papak）

パーパク（パフラヴィー語: 𐭯𐭠𐭯𐭪𐭩 Pāpak/Pābag, ペルシア語: بابک Bābak）は、サーサーン朝の創始者であるアルダシール1世の父（もしくは継父）として知られています。彼は、パールスの首都イスタフルを205年または206年から207年と210年の間に死去するまで支配しました。

生涯

パーパクの死後、イスタフルの支配権は彼の長男であるシャープールに引き継がれました。パーパクは、パーパグ、パーバグ、またはバーバクとも表記されることがあります。

背景とパールスの国家

パールス（ペルシス）は、イラン高原南西部に位置する地域であり、ペルシア人の故地でした。また、アケメネス朝の発祥地でもあります。この地域は、アレクサンダー大王によって征服されるまで帝国の中心地として機能していました。紀元前3世紀末または紀元前2世紀初頭以来、パールスはセレウコス朝の支配下にある地方王権に統治されていました。これらの統治者たちは、フラタラカ（指導者、総督、先駆者など様々な解釈がある）と呼ばれる称号を持っていました。フラタラカは後にアルサケス朝パルティアの臣下となり、その後ペルシス王に置き換えられました。

出自

パーパク、サーサーン、およびアルダシール1世の間の関係については、様々な情報源が存在します。

シャー・ナーメ

フェルドウスィーの『シャー・ナーメ』によれば、サーサーンはカヤーン朝の君主の子孫であるとされています。また、サーサーンはインドへ逃れ、そこで亡くなったとされています。サーサーンの子孫はパールスの支配者パーパクに仕え、パーパクの娘と結婚してアルダシールを産んだとされています。
タバリー

タバリーによれば、パーパクはサーサーンとバーズランギー家の王女ランビヒシュトの息子であり、アルダシールの父であるとされています。タバリーもサーサーンをパールスにおける外国人であったと説明しています。
中期ペルシア語文献

『パーパクの息子アルダシールの偉業の書』では、アルダシールは「カヤーン人アルダシール、サーサーンの家系そしてダーラー王の血統パーパクの息子」とされています。一方、『ブンダヒシュン』では、「アルダシールはパーパクの息子であり、母はウェー・アーフリードの息子であるサーサーンの娘である」とされています。
ローマとアルメニアの文献

ローマの歴史家アガティアスとゲオルギオス・シンケロスによれば、サーサーンはアルダシールの実の父親であり、パーパクは継父であったとされています。アルメニアの著述家モブセス・ホレナツィとアガサンゲロスも同様にサーサーンをアルダシールの父と呼んでいます。
* サーサーン朝の碑文と硬貨

アルダシールは、自身の硬貨の銘文とナクシェ・ロスタムの碑文において、「神聖なる王パーパク」の息子であると主張しています。アルダシールの息子であるシャープール1世は、ナクシェ・ラジャブの碑文において、自身をアルダシール1世の息子でパーパクの孫であると記しています。

来歴

パーパクは、バフテガン湖の南のヒール地方で小さな公国を支配していました。彼はペルシスの首都イスタフルのバーズランギー朝の王であるゴーチフルの家臣であり、ゴーチフルはパルティア王の家臣でした。パーパクはゴーチフルの許可を得て、アルダシールをダーラーブギルドの要塞に送り、アルダシールは指揮官ティーリーのもとで仕えました。

当時、パルティアはローマ帝国との戦争、内戦、そして地方の反乱によって衰退していました。205年もしくは206年にパーパクは反乱を起こし、ゴーチフルを倒してイスタフルを占領しました。パーパクは長男のシャープールを後継者に指名しましたが、アルダシールはこれに反感を抱き、反抗的な行動を起こしました。パーパクは207年から210年の間に自然死し、シャープールが後継者となりました。パーパクの死後、アルダシールとシャープールの両者は、「王」の称号とパーパクの肖像を刻んだ硬貨の鋳造を始めました。しかし、シャープールの治世は短く、211年もしくは212年に死亡しました。アルダシールはシャープールの後継者となり、ペルシアの残りの地を征服し続け、224年にサーサーン朝を建国しました。また、パーパクはアルダシールと結婚したデーナグという名前の娘を残しています。

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