ビアリッツ・オランピック

ビアリッツ・オランピック・ペイ・バスク

ビアリッツ・オランピック・ペイ・バスク（Biarritz Olympique Pays Basque）は、フランスのアキテーヌ地域圏、ピレネー＝アトランティック県に位置する海辺の街ビアリッツを拠点とするプロラグビーユニオンクラブです。「ビアリッツ・オランピック」や単に「ビアリッツ」として広く知られ、日本のメディアでは「ビアリッツ・オリンピック」と表記されることもあります。現在、フランス国内リーグの2部にあたるプロD2に所属しています。

クラブの概要とスタジアム

チームのホームスタジアムは、ビアリッツ市内にある多目的施設、パルク・デ・スポール・アギレラです。主にラグビーの試合に使用され、およそ13,500人を収容することができます。しかし、欧州カップ戦の準決勝や決勝など、より多くの観客が見込まれる重要な試合では、国境を越えてスペイン・バスク地方のサン・セバスティアンにあるエスタディオ・アノエタが利用されることがあります。このスタジアムは32,000人以上を収容可能で、必要とされる収容人数を満たすビアリッツから最も近い大規模スタジアムです。クラブの象徴的なカラーは、鮮やかな赤色と白色です。これに加えて、第3の色として緑色も使用されており、赤・白・緑の三色はバスク地方の伝統的な色として、クラブと地域の強い結びつきを示しています。ユニフォームはバーダ(Burrda Sport)製で、メインスポンサーはキャップジェミニです。

歴史

クラブのルーツは19世紀末に遡ります。ビアリッツの運動クラブ内にラグビー部門が設けられたのが始まりで、1902年には「ビアリッツ・スタッド」として活動していました。その後、1909年には別のクラブ「ビアリッツ・スポルティン・クラブ」が設立され、1913年4月26日にこの二つのクラブが統合されて「ビアリッツ・オランピック」が誕生しました。

チームは比較的早い段階で国内のトップレベルに到達します。1934年には初めてフランス選手権の決勝に進出しますが、隣接するライバルであるアヴィロン・バイヨネに敗れました。この試合は、現在に至るまでフランス選手権決勝における唯一のバスクダービーとして歴史に刻まれています。しかし、翌1935年には再び決勝へ駒を進め、USAペルピニャンを破って初の国内王座を獲得しました。1930年代後半も成功は続き、1939年にはペルピニャンを下して2度目の優勝を果たしています。しかし、その後半世紀以上にわたって、国内リーグでの優勝からは遠ざかる低迷期が続きました。

長い沈黙を破り、ビアリッツは1980年代後半から再び存在感を示し始めます。1989年にはシャランジュ・イヴ・デュ・マノワールの決勝に進出し、1992年にはフランス選手権決勝まで辿り着きましたが、惜しくもタイトルには届きませんでした。1997-98シーズンには欧州カップ戦に初参戦し、欧州チャレンジカップに出場します。そして1998年、クラブ名に「ペイ・バスク（バスク地方）」を加え、「ビアリッツ・オランピック・ペイ・バスク」と改称し、地域との一体感をより強固なものとしました。

2000年代に入ると、チームは黄金期を迎えます。1999-00シーズンにクープ・ドゥ・フランスで優勝し、これを機に欧州最高峰の大会であるハイネケンカップへの出場権を獲得。欧州の舞台でも躍進を見せ、2002年には63年ぶりとなるフランス選手権優勝を飾りました。さらに2005年と2006年には国内リーグ（トップ14）で2連覇を達成するなど、フランスラグビー界のトップチームとしての地位を確固たるものにしました。ハイネケンカップでも2006年と2010年に決勝に進出するなど、欧州屈指の強豪クラブとして名を馳せます。2012年には欧州チャレンジカップで初の優勝を果たしました。しかし、栄光の時代は長くは続かず、2013-14シーズンにはトップ14からプロD2への降格を経験しています。

クラブの象徴とサポーター

クラブのロゴは、中央に「B」と「O」の文字を配した赤と白の盾形デザインです。その両脇には緑色の要素が取り入れられ、「Pays Basque」の文字が刻まれており、クラブ名にも含まれるバスク地方との深いつながりを視覚的に表現しています。ビアリッツのサポーターは非常に熱狂的で知られています。ホームゲームではバスクのシンボルであるイクリニャ（バスク国旗）がスタンドで振られ、伝統的なバスクの歌声が響き渡ります。その大声援は相手チームにとって大きなプレッシャーとなり、本拠地アギレラは威圧感のあるスタジアムとして認識されています。

主な獲得タイトル

ビアリッツ・オランピック・ペイ・バスクは、数々の国内および国際タイトルを獲得しています。

国内タイトル

フランス選手権（現・トップ14）
優勝：5回（1935, 1939, 2002, 2005, 2006）
準優勝：3回（1934, 1938, 1992）
シャランジュ・イヴ・デュ・マノワール
優勝：2回（1937, 2000）
準優勝：1回（1989）
クープ・ドゥ・フランス
準優勝：1回（2002）

国際タイトル

ハイネケンカップ
準優勝：2回（2006, 2010）
欧州チャレンジカップ
優勝：1回（2012）

これらの実績は、ビアリッツ・オランピック・ペイ・バスクがフランス国内だけでなく、ヨーロッパにおいてもラグビー史に名を刻む重要なクラブであることを示しています。

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