ビジョン グランツーリスモ

ビジョン グランツーリスモ：夢のコンセプトカーが集結するレースゲームプロジェクト

2013年、『グランツーリスモ』シリーズ15周年を記念して始まった「ビジョン グランツーリスモ（Vision Gran Turismo）」プロジェクト。世界各国の自動車メーカーやブランドが、ゲームのために独自にデザインしたコンセプトカーを開発・発表する、画期的な取り組みです。略称はVGT、ビジョンGTと呼ばれています。

概要：ゲームの枠を超えた現実性

ビジョン グランツーリスモは、各メーカーが保有する技術やデザインセンスを駆使した、現実世界では存在しない架空の車両です。しかし、そのクオリティは非常に高く、ゲーム内での走行だけでなく、実寸大のモックアップが製作されたり、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードなどのモータースポーツイベントで発表されたりと、現実世界にも大きな影響を与えています。

当初は『グランツーリスモ6』で配信される予定でしたが、プロジェクトの長期化に伴い、『グランツーリスモSPORT』、『グランツーリスモ7』へとプラットフォームを移し、2023年現在も新たな車両が追加され続けています。2016年には、日本カーデザイン大賞「ゴールデンマーカー特別賞」を受賞するなど、その功績は高く評価されています。

参加メーカー：多様なブランドの競演

ビジョン グランツーリスモには、世界を代表する自動車メーカーやブランドが多数参加しています。参加メーカーは予告なく変更される場合があり、公式サイトの情報が最新です。中には、公式発表なく実装されたり、メーカーが先行して発表するなど、様々な展開を見せています。アルファロメオやベルトーネなど、過去に参加していたメーカーがリストから削除されているケースもあります。

車種：多様なカテゴリーと性能

VGTは、ゲーム内のカテゴリーに分類されています。『グランツーリスモSPORT』ではGr.X、『グランツーリスモ7』ではその他クラスに分類される車両が多いですが、Gr.1などのレーシングカーカテゴリに合わせた仕様のVGTも存在します。

代表的なVGT：個性あふれるデザインと性能

ここでは、数多くのVGTの中から特に印象的なモデルをいくつかピックアップして紹介します。

メルセデス・ベンツ AMG ビジョン グランツーリスモ

300SLを彷彿とさせるロングノーズ・ショートデッキスタイルに、ガルウィングドアを採用。フロントグリルには状況に応じて発光パターンが変化するLEDが埋め込まれ、リアにはアクティブウイングが備えられています。5.5L V8ツインターボエンジンは585 PSを発生し、軽量な車体との組み合わせで優れた動力性能を実現しています。映画『ジャスティス・リーグ』にも登場したことで有名です。

BMW ビジョン グランツーリスモ

1970年代のツーリングカーを彷彿とさせる、BMW Mによるモダンロードレーサー。4シリーズをベースにした2ドアクーペで、丸型2灯式ライト、L字テールライト、キドニーグリルなどのBMWの特徴的なデザイン要素を継承しています。549 PSの直列6気筒Mツインパワーターボエンジンを搭載し、軽量化された車体と50:50の理想的な重量配分により、高い運動性能を実現しています。

三菱 コンセプト XR-PHEV エボリューション ビジョン グランツーリスモ

東京モーターショーに出展された「MITSUBISHI Concept XR-PHEV」をベースにしたSUVスタイルのコンセプトカー。プラグインハイブリッドシステムとS-AWCによる4輪駆動、スーパーAYCシステムなど、三菱のモータースポーツ技術が凝縮されています。

フォルクスワーゲン GTI ロードスター ビジョン グランツーリスモ

歴代GTIの要素を盛り込んだオープンスタイルのロードスター。シザーズドアや3.0L V6ツインターボエンジンなど、フォルクスワーゲンの技術が惜しみなく投入されています。

アストンマーティン DP-100 ビジョン グランツーリスモ

デザインプロトタイプ（DP）の名の通り、アストンマーティンが6か月かけて開発した完全オリジナルモデル。V12ツインターボエンジンによる811 PSのパワーと、アストンマーティン初となるミッドシップレイアウトが特徴です。

日産 CONCEPT 2020 Vision Gran Turismo

欧州日産の若手デザイナーが手掛けたモデルで、次期GT-Rのプロトタイプではないかと噂されました。V6ツインターボエンジンと3つのモーターによるハイブリッドシステムを搭載し、300km/hで400kgのダウンフォースを発生させる可動式リアウイングを備えています。

トヨタ FT-1 ビジョン グランツーリスモ

北米国際オートショーで発表された「FT-1」のグランドツーリングカー仕様。SUPER GT版FT-1と呼べるほどのデザインで、詳細スペックは明らかにされていませんが、ゲーム内では最高出力623 PS、車重1000kgと設定されています。

スバル VIZIV GT ビジョン グランツーリスモ

ジュネーブショーに出展された「SUBARU VIZIV 2 CONCEPT」をベースにデザインされたシューティングブレークスタイル。水平対向エンジンと3つのモーターによるプラグインハイブリッドシステムを搭載し、最高出力は639 PSに達します。

シボレー シャパラル 2X ビジョン グランツーリスモ

ウイングスーツをモチーフにした、レーザー推進システムを搭載したシングルシーターレーシングカー。前例のない推進方式のため、専用の物理エンジンが開発されました。

その他

これ以外にも、多くの魅力的なVGTが存在します。インフィニティ、マツダ、ミニ、アルピーヌ、レクサス、フォルクスワーゲン（2台目）、プジョー、SRTトマホーク（3グレード）、ヒョンデ、ブガッティ、フィッティパルディ、マクラーレン、ダイハツ、ホンダ、アウディ、ランボルギーニ、ジャガー（2台）、ポルシェ、スズキ、フェラーリ、イタルデザイン、ジェネシス、ブルガリ、シュコダ、ジェネシスXグランレーサーなど、それぞれのメーカーの技術とデザインが凝縮されたコンセプトカーが多数登場しています。

バリエーション：さらに多様な選択肢

一部のVGTは、ベースモデルとは異なる仕様のバリエーションが存在します。Gr.1、Gr.3などのレーシングカーカテゴリに合わせた調整が施されたモデルや、特別な仕様のモデルなどがあります。例えば、メルセデス・ベンツ AMG ビジョン グランツーリスモ LHエディションは、ルイス・ハミルトン仕様の特別モデルです。

まとめ：未来への展望と革新

ビジョン グランツーリスモは、ゲームの枠を超えた、自動車メーカーの技術力とデザイン力を示す、非常に興味深いプロジェクトです。現実世界では実現が困難なアイデアも、ゲームの中では自由に表現できるため、未来の自動車デザインや技術の進化へのヒントとなる可能性を秘めています。今後、どのようなVGTが登場するのか、目が離せません。

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