ビーグル (帆船)

ビーグル号の歴史

ビーグル（HMS Beagle）は、イギリス海軍のチェロキー級ブリッグとして知られる艦船で、10門の砲を装備しています。この船の名は、狩猟犬として普及している小型犬「ビーグル」に由来しています。1820年5月11日、テムズ川であるウリッジ造船所にて進水し、建造には7,803ポンドが費やされました。船はその年の7月に行われたジョージ4世の戴冠式を祝う観艦式に参加し、新しいロンドン橋を通過した最初の艦船としても知られています。その後5年間にわたり予備艦として過ごした後、調査用のバークに改装され、数度の航海に出ることになります。

最初の航海

1825年9月に「ビーグル」はドックに入り、約5,913ポンドをかけて改修作業が行われました。この時、船は10門の砲のうち6門に減らされ、操船性を向上させるために後マストが追加されました。1826年5月22日、プリングル・ストークス船長の指揮のもと、最初の航海に出発しました。この航海では、「ビーグル」はフィリップ・パーカー・キング指揮のもと、より大きな船「アドヴェンチャー」と共にパタゴニアおよびティエラ・デル・フエゴの水路調査を行いました。

調査中、ストークスは深刻な精神的な課題に直面し、最終的には自ら命を絶つことになりました。彼の後を受けたパーカー・キングは副長のW・G・スカイリングと共にリオデジャネイロへ向かい、後にロバート・フィッツロイが一時的に船長として指名されました。23歳の貴族フィッツロイは、冷静かつ有能な指揮官として知られ、フエゴの島民との人質交渉をも行いながら調査を続行しました。1830年10月14日にはポーツマスに帰還します。

2度目の航海

次に、南米調査を行う計画があった「チャンタクリアー」に代わって、ビーグル号がその任務を引き受けることになりました。1831年6月25日、フィッツロイが再び指揮官に任命され、7月4日には新たに就役しました。

その後、ビーグルは大規模な改装を行います。甲板の防水性を向上させるため改修を施し、安定性を高めるなどの工夫がなされました。また、フィッツロイは多くの精密機器を搭載し、調査の信頼性を高めることに尽力しました。ダーウィンが同乗することとなり、1831年12月27日に出航しました。この旅では南米を調査し、1836年10月2日にはファルマスに帰還します。

3度目の航海

ビーグルはその後、オーストラリア沿岸の調査へ出発します。ジョン・クレメンツ・ウィッカムが船長を務め、最初に西部のスワン川とフィッツロイ川の間の調査が行われました。1839年にはティモール島対岸のアラフラ海の調査に取り組み、ウィッカムはビーグル湾およびポートダーウィンを名付けました。彼が病気になった後、ストークスが指揮を引き継ぎ、調査を続けました。この航海は1843年に終了しました。

その後のビーグル号

1845年には、ビーグル号は沿岸警備の船として改装され、関税消費税庁に移管されました。船はエセックス州の沿岸に係留されましたが、1851年にはその存在が問題視され、除去の請願が出されました。最終的にビーグルは1870年に売却され解体されることとなりました。

ビーグル号はその文学的な価値だけでなく、科学的探求の歴史としても重要な一翼を担った艦船であり、今日でも多くの人々に記憶されています。

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