ピエタリ・インキネン

フィンランド出身のピエタリ・インキネンは、ヴァイオリニストとしてキャリアをスタートさせ、現在は国際的に活躍する著名な指揮者としても知られています。1980年 4月29日に生まれた彼は、若くしてその音楽的才能を開花させ、世界各地のオーケストラと共演を重ね、主要なポストを歴任してきました。

音楽教育と初期の活動

インキネンは4歳でヴァイオリンを始め、北キュミ音楽院で基礎を築いた後、フィンランドの最高峰であるシベリウス音楽院に進学し、トォマス・ハーパネンに師事しました。ヴァイオリニストとしての研鑽を積む一方、早くから指揮に興味を持ち、14歳からはヨルマ・パヌラ、レイフ・セーゲルスタム、アッツォ・アルミラといった名だたる指揮教育者たちの指導を受けました。さらに、ヴァイオリンはドイツのケルン音楽大学でも学び、ザハール・ブロンに師事。指揮法においては、ネーメ・ヤルヴィ主催のマスタークラスに参加するなど、多角的にその技術を磨きました。

コンクールでの成功

初期のキャリアにおいて、インキネンは主要な音楽コンクールで noteworthy な成果を上げています。2000年には第9回クオピオ・ヴァイオリン・コンクールで第1位を獲得。また、権威ある第8回国際ジャン・シベリウス・ヴァイオリン・コンクールでは第4位に入賞し、同時に特別演奏賞も受賞するなど、ヴァイオリニストとしての実力を世界に示しました。

ヴァイオリニストとしての顔

ヴァイオリニストとしても精力的に活動を続けており、フィンランド放送交響楽団、ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団、タンペレ・フィルハーモニー管弦楽団をはじめとするフィンランド国内の主要オーケストラと共演を重ねています。また、ピンカス・ズーカーマン、イツァーク・パールマン、アナ・チュマチェンコ、オッリ・ムストネンといった世界的な名手たちとも室内楽やソリストとして共演しています。室内楽においては、自身が率いる「インキネン・トリオ」でも活動を展開し、ロンドンでの公演も実現させました。現在、彼はフィンランドのギレンバーグ財団が所有する1732年製のカルロ・ベルゴンツィを使用しています。

国際的な指揮活動

指揮者としては、北欧各国の主要オーケストラとの共演はもちろんのこと、その活動範囲は世界各地に及びます。イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団、BBCスコティッシュ交響楽団、BBCフィルハーモニック、hr交響楽団（フランクフルト放送響）、ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団、香港フィルハーモニー管弦楽団、国立芸術センター管弦楽団（カナダ）、ラインラント＝プファルツ州立フィルハーモニー管弦楽団、ボーンマス交響楽団、KBS交響楽団（韓国）、そして日本の日本フィルハーモニー交響楽団、大阪フィルハーモニー交響楽団など、多数の著名なオーケストラに客演し、成功を収めています。

主なポスト歴

ピエタリ・インキネンは、複数のオーケストラで重要な指揮者ポストを歴任し、それぞれの楽団の発展に貢献しました。

ニュージーランド交響楽団: 2008年1月、ジェームズ・ジャッドの後任として音楽監督に就任し、2015年シーズン終了までその任を務めました。その後、2016年9月からは同楽団の名誉指揮者の称号を得ています。
日本フィルハーモニー交響楽団: 2009年9月より首席客演指揮者に就任し、長期にわたる緊密な関係を築きました。2016年9月からは3年間の任期で首席指揮者に昇格。このコンビネーションは高い評価を得て、2018年6月には契約が2020-2021シーズンまで延長されることが合意されました。2019年4月には、彼のもとで第6回日本フィルヨーロッパ公演が成功裏に行われました。さらに2021年5月には契約が2年間延長され、2023年8月末まで首席指揮者を務め上げました。最終公演は同年5月21日の「第400回名曲コンサート」でした。
プラハ交響楽団: 2015年9月から3年間の任期で首席指揮者を務めました。
ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団: 2017-2018シーズンから4年間の任期で首席指揮者に就任しました。
* KBS交響楽団（韓国）: 2021年5月に第9代音楽監督への就任が発表され、2022年1月1日付で正式に就任しました。任期は3年間です。

また、2015年度のルートヴィヒスブルク音楽祭では音楽監督を務めるなど、フェスティバルでの活動も行っています。

オペラと録音活動

オペラの分野においても積極的な活動を展開しており、フィンランド国立オペラには定期的に出演しています。2006年にはベルギーのモネ劇場でストラヴィンスキーの「春の祭典」を指揮し、オペラ指揮者としての手腕を示しました。

録音活動も盛んで、特にニュージーランド響との関係が深く、多数のCDをナクソスからリリースしています。特筆すべきは、母国の作曲家ジャン・シベリウスの交響曲全集録音です。2010年から2011年にかけてニュージーランド響と、そして2013年には日本フィルと、それぞれ異なるオーケストラとシベリウスの全集を完成させています。コンサートにおいても、シベリウスの作品は彼の得意とするレパートリーの一つであり、頻繁に演奏されています。

国際的な指揮者・ヴァイオリニストとして、ピエタリ・インキネンは今後も世界の音楽シーンで重要な役割を果たしていくことでしょう。

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