ピエール・デュモン

ピエール・デュモン（1884年3月29日 - 1936年4月8日）は、フランスの画家として知られています。パリ5区で生まれ、幼少期をルーアンで過ごしました。彼の父親は自然科学の教師であり、1887年にルーアンの高校へ赴任したことがきっかけで、デュモンは少年時代から青年時代にかけてをルーアンで過ごすこととなりました。このルーアンの高校で、デュモンはマルセル・デュシャンやロベール・アントワーヌ・パンションといった、後に画家となる人物たちと出会い、クラスメートとして共に過ごしました。

デュモンは、印象派の画家であるジョゼフ・ドゥラトルが1895年にルーアンに開いた自由学校(Académie libre)に、パンションらと共に参加しました。1907年には、パンションらと共に美術家グループ「30人会」(Groupe des Trente)を設立し、ルーアンでグループ展を開催しました。さらに、1909年にはノルマンディ現代美術協会(Société Normande de Peinture Moderne)を設立し、1910年からグループ展を開催、1911年にはパリでも展覧会を開くなど、精力的に活動を展開しました。

デュモンを含むこのグループのメンバーの多くが、1912年に開催された重要な展覧会「セクション・ドール展(Salon de la Section d'Or)」に出展しました。この展覧会は、キュビスムとの関連で非常に重要な位置を占めています。

初期のデュモンの作品は、フィンセント・ファン・ゴッホやポール・セザンヌの影響を受けたスタイルが特徴でした。しかし、「セクション・ドール展」に出展した頃から、ジャック・ヴィヨンの影響を受け、キュビスムの作品を手がけるようになりました。1912年10月には、「ピュトー・グループ」が出版した美術雑誌「セクション・ドール」に記事を寄稿するなど、当時の前衛的な芸術運動の一翼を担いました。

また、デュモンは、マックス・ジャコブ、アンドレ・ロート、フアン・グリス、フランシス・ピカビアといった、当時の前衛的な芸術家たちと親交を深めました。1910年代後半にはパリに移り、1925年からはパリ、モンマルトルの有名な集合アトリエ「洗濯船」で活動しました。しかし、1927年頃に病気の発作により右手の機能に障害が残り、精神的にも不安定な状態に悩まされるようになりました。その後、1936年にパリの病院で亡くなりました。

デュモンの作品は、初期の印象派の影響からキュビスムへの移行が見られ、彼の芸術的成長を物語っています。ルーアンでの青春時代からパリでの前衛的な活動、そして晩年の苦難まで、彼の生涯は20世紀初頭のフランス美術界の一つの側面を映し出しています。

参考文献
Pierre Dumont, Les arts : des indépendants, in: Les Hommes du jour, avril 1912.
Léon Bernard et Pierre Varenne, Pierre Dumont, Éditions Durand-Ruel, Paris, 1928.
Gérald Schurr, Les petits maîtres de la peinture, valeur de demain, Les Éditions de l'amateur, 1975, Bd. 1.
Gilbert de Knyff, Pierre Dumont, Paris, Mayer, 1976

もう一度検索