ファミリーナンバー

ファミリーナンバー（Family Number）について

ファミリーナンバーは、サラブレッドを効率的に分類するための仕組みであり、各牝系に特定の番号が割り当てられています。この番号は、同じファミリーナンバーに属する馬が同じ基礎牝馬にさかのぼれることを示しています。例えば、オルフェーヴル（8号族のc分枝）およびニジンスキー（8号族のf分枝）はいずれも、17世紀に生まれた1頭の牝馬、バストラーメア（Bustler Mare）に起源を持つことが確認されています。

ウィキペディアでは、ファミリーナンバーが競走馬の血統表に記載されており、通常は血統表の右下及び母系の欄に表示されます。具体例として、ナリタブライアンの母系の欄には「FN:13-a」と記され、この表記は13号族のa分枝を意味します。血統書がスペースの制約から短縮されることもあり、F.13aのような形で表現されることもあります。

歴史的背景

ファミリーナンバーの概念は1895年にオーストラリアのブルース・ロウによって初めて提案されました。彼は著作『フィギュアシステムによる競走馬の生産』の中で、サラブレッドをイギリスのジェネラルスタッドブックに記載されている牝馬まで母系を遡って、エプソムダービーやオークスなどの主要競走での優勝馬数の多い系統に番号を付与しました。この際、優れた競走馬が多く属性する系統を「競走族」（1～5号）、種牡馬が多く属する系統を「種牡馬族」（3・8・11・12・14族）として区分しました。この研究から、競走能力と種牡馬能力には相関関係がないことも明らかになりました。

1953年には、ポーランドのカジミエシュ・ボビンスキーがこのファミリーナンバーを基に、全系統を網羅した『ファミリーテーブル』を執筆しました。2006年までに74号までのファミリーナンバーが確認されているものの、公式には51号までが認識されています。

アメリカや他国におけるファミリーナンバー

米国では南北戦争の影響で血統書が失われたため、独自のアメリカンスタッドブックに基づいた「アメリカンナンバー」が設けられています。これにより、A1からA37までが公式に認可されている一方で、未公認の番号も存在します。例えば、最も成功したA4ファミリーは21号族由来とされています。

オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカでも同様に、ジェネラルスタッドブックに遡れない系統は「コロニアルナンバー」としてCで表記され、C1からC35が公式に認可されています。

ファミリーナンバーの機能と重要性

ファミリーナンバーは、サラブレッドの系統を整理し分類するために非常に便利なツールです。近年では、細胞質が母親から子供にのみ伝わることが判明し、そのため持久力などにおいて母系の重要性が再認識されています。サラブレッドのゲノムの中には、母系から継承されるミトコンドリアDNA（mtDNA）があり、そのハプロタイプが能力にも影響を与える可能性が議論されています。

ただし、系図に誤りが見つかることもあるため、ハプロタイプがファミリーナンバーにそのまま適用されるわけではありません。そのため、ファミリーナンバーはあくまで分類の一助として用いられ、サラブレッドの血統における進化と変化を記録する重要な要素として広く認識されています。

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