1号族

1号族（Family 1）の概要

サラブレッドの血統において、1号族とはトレゴンウェルズ・ナチュラル・バルブ・メア（1657年頃 - 1670年頃）の母系からなる系統を指します。この系統は、これまでに180頭以上のイギリスクラシック優勝馬を輩出しており、全体の17%を占めるという圧倒的な実績を誇っています。全サラブレッドに対する比率も16%（1986年から1995年のデータに基づく）と高く、他の主な系統に対しても優位性が見られます。

1号族の歴史と発展

1号族という名称は、20世紀初頭にこの系統が特に成功を収めていたことを受けて与えられました。ファミリーナンバーという概念を提唱したブルース・ロウは、イギリスのジェネラルスタッドブックに記載された牝馬にまで遡って、系統ごとの優勝馬の数を比較しました。その結果、トレゴンウェルズ・ナチュラル・バルブ・メアの牝系は、最も多くの勝馬を持っていたため「1号族」と認識されたのです。

当時、彼女の牝系は全体の8.5%のシェア（1901年のジェネラルスタッドブック第19巻の5899頭中の割合）を占めており、他の系統に比べて第三位の存在でした。しかし彼女の系統は19世紀までに、五大クラシックレースや主要なカップレースで多くの勝利を収めており、特に19世紀のイギリス競馬では最も顕著な活躍を見せました。

20世紀に入り、この牝系はパラフィン系、コンジュア系、パラドキシカル系など表現される多様な系統に広がりを見せ、さらなる成功を収めました。2008年6月までの記録では、合計で1088頭のイギリスクラシック勝ち馬が誕生しており、その中でも約17%に当たる180頭が1号族に属しています。

種族の遺伝的特徴

1号族はミトコンドリアDNAのハプロタイプC2を持ち、他の主要な系統とは異なる特異性を示しています。C系統、特にC2はアラブ種などの東方種にはほとんど見られず、多くはイギリスの在来馬や大陸ヨーロッパの馬に見られる系統です。これにより、1号族の独自性が強調されています。

日本での影響

日本でも1号族の影響は見られ、例えば小岩井農場から輸入された牝馬フラストレートや、その子孫によって多くの成功馬が誕生しています。特にトキツカゼ、クモノハナ、トウメイ、アジュディミツオーなど、1号族に深く根ざした血統が数多く存在します。

他にも、テツバンザイ系統から派生するダイタクヤマトや、バラ一族に属する名馬たちが、1号族の血を引いています。これにより、日本の競馬界にも1号族の影響は少なからず及んでいるのです。

代表的な馬たち

1号族には数多くの代表馬が存在します。これにはヨーロッパで活躍したハンブルトニアン、スペアミント、フランケルなどが含まれます。また、北アメリカではオーサムアゲインやアゼリ、アジアでもフラストレートの子孫が名を馳せています。特に顕彰馬として位置づけられるトキツカゼとトウショウボーイは、この牝系の特異な成長を象徴する存在です。

このように、1号族はその歴史、遺伝的特徴、影響力において特筆すべき系統といえるでしょう。

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