ファラリス (競走馬)

ファラリス：サラブレッドの父系を築いた伝説の種牡馬

ファラリス(1913年 - 1931年)は、イギリスが生んだサラブレッド競走馬にして、種牡馬として現代サラブレッドの歴史に計り知れない影響を与えた伝説的な存在です。その名前に込められたのは、古代シチリアの暴君ファラリス。その名にふさわしく、ファラリス自身も競走馬としてはもちろんのこと、種牡馬としても圧倒的な成功を収めました。現代サラブレッドの約8割がその血を受け継いでいるとされ、まさにサラブレッドの父系を築いたといっても過言ではありません。

競走馬としてのファラリス

ファラリスの競走成績は24戦16勝。セントジョージハンデキャップ、ジューンステークス、チャレンジステークスなど数々のレースを制しました。獲得賞金は26294ドル(当時の価値)にのぼります。しかし、主に短距離レースを走っていたため、クラシックレースのような長距離レースには出場していませんでした。そのため、ステイヤー(長距離馬)を好むダービー伯爵にとっては必ずしも重要な馬ではなく、売却寸前まで追い込まれた時期もありました。

予想外の成功：種牡馬としての輝かしい功績

競走馬としては華々しい活躍とは言い難かったファラリスですが、種牡馬'>[牡馬]]として歩む道は想像をはるかに超える成功を収めます。買い手がつかず、やむなく初年度(1919年)はチェヴァリーパークスタッドで供用されましたが、これが予想外の成功に繋がったのです。1921年からはサイドヒルスタッドで繋養され、ダービーステークスを8馬身差で圧勝したマンナや、セントレジャーステークスを制したフェアウェイなど、数々の名馬を輩出しました。その結果、1925年と1928年にはイギリスリーディングサイアー]に輝きました。[[1931年、種付け中に心臓麻痺で急死しましたが、その短い生涯でサラブレッドの歴史に大きな足跡を残しました。

ファラリス系：現代サラブレッドへの影響

ファラリスの血を受け継いだ直系の子孫、フェアウェイ、ファロス、シックル、ファラモンドといった種牡馬たちが、その後のサラブレッド界で大きな成功を収めました。これらの馬たちが繋いだ血統は、現在、サラブレッドの8割以上にまで広がり、ファラリス系と呼ばれる大きな系統を形成しています。その影響力は現代サラブレッドの世界に色濃く残っており、ファラリスの偉大さを改めて物語っています。

代表的な産駒

ファラリスの産駒には、数々の名馬が名を連ねています。その中でも特に有名なのは以下の通りです。

シャトレーヌ (Chatelaine): 1933年オークス、チャンピオンステークス優勝。
コロラド (Colorado): 1926年2000ギニー、1927年エクリプスステークス優勝。
フェアアイル (Fair Isle): 1930年1000ギニー優勝。
フェアウェイ (Fairway): 1928年セントレジャーステークス、1928年・1929年チャンピオンステークス優勝、英リーディングサイアー4回獲得。
マンナ (Manna): 1925年2000ギニー、ダービーステークス優勝。
ファラモンド (Pharamond): 1927年ミドルパークステークス優勝。
ファロス (Pharos): 1924年チャンピオンステークス優勝、1931年英リーディングサイアー獲得。
シックル (Sickle): 1936年・1938年米リーディングサイアー獲得。

中でもフェアウェイ、ファロス、フェアアイルは、母がスカパフローという兄弟。シックルとファラモンドは母がシリーンという兄弟です。スカパフローとシリーンの父はどちらもチョーサーであり、父ファラリス、母父チョーサーという配合は、第17代ダービー伯爵が好んで用いた、有名なニックス（成功する配合）でした。

結語

競走馬としては短距離に特化した活躍でしたが、種牡馬としてのファラリスの成功は、まさにサラブレッドの歴史を変えるほどの偉業でした。その血統は現代の競走馬の世界に深く根付いており、今後もその影響は計り知れません。ファラリスという名馬は、サラブレッドの歴史において永遠に語り継がれるべき存在です。

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