ファンタスティックバス

ファンタスティックバス：個性と魅力を乗せて走るバスたち

一般の路線バスとは一線を画す、個性的なデザインを特徴とするバスを「ファンタスティックバス」と呼びます。東京特殊車体では「ジョイフルバス」と呼称していますが、レトロ調デザインのものが多く「レトロバス」と呼ばれることも多いです。鉄道のジョイフルトレインと同様、特別なデザインで乗客を魅了する存在と言えるでしょう。

歴史と進化：レトロバスから多様なデザインへ

ファンタスティックバスの起源は諸説ありますが、1989年6月に東海自動車が導入した「リンガーベル」がその嚆矢とされています。日野自動車のシャーシに東京特殊車体のレトロ調車体を架装したこのバスは、マスコミにも大きく取り上げられ、全国的なブームを巻き起こしました。その後、1991年には東海自動車が「トロピカーナ」を登場させますが、レトロ調ではないデザインだったため、レトロバスという呼称は定着しませんでした。

「ファンタスティックバス」という呼称は、『バスラマ・インターナショナル』誌が1991年6月発行の第6号で用いたことがきっかけと言われています。この呼称が定着したことで、レトロ調に限らず、様々なデザインのバスが「ファンタスティックバス」の範疇に含まれるようになりました。

当初は特装車やトラック用のシャーシを流用し、車体もほぼ新造することが多かったのですが、近年は交通バリアフリー法の適用などから、路線バス用のシャーシをベースに、車体に小加工を施した車両が増えています。

多様な用途とデザイン：観光からスクールバスまで

当初は観光地などの周遊バスで多く採用されていましたが、現在では送迎バスやコミュニティバス、さらにはスクールバスなど、その活躍の場は多岐に渡ります。特にスクールバスでは、動物や鉄道車両を模したデザインの車両も多く見られ、メーカーもこれらのニーズに対応した車種をラインナップに加えています。

主要な導入事例

全国各地のバス事業者でファンタスティックバスが導入されています。代表的な例として、弘南バスの「トテバス」、東武バス日光の世界遺産めぐりバス、名古屋市営バスの「メーグル」専用車、近江鉄道の長浜観光レトロバス、京都市交通局の「チンチンバス」などが挙げられます。これらは、地域性を反映したデザインや、観光客へのアピールを目的としたデザインが施されていることが多いです。

使用されるベース車両と架装メーカー

ファンタスティックバスのベース車両は、多様な車種が使用されています。三菱ふそうのローザ、エアロミディ、日野のCG、レインボーシリーズ、リエッセ、レンジャー、日産シビリアン、いすゞのジャーニーQ、エルフ、フォワード、TSなど、様々なメーカーのバスがベースとして利用されています。

車体架装メーカーも複数存在し、東京特殊車体、京成自動車工業、タケクラフトコーポレーション、三菱ふそうトラック・バス（菱和車体工業）、北村製作所、オーテックジャパン、イズミ車体製作所、岩戸工業などが、それぞれの技術とデザインで個性的なバスを生み出しています。

ファンタスティックバスの未来

今後、ファンタスティックバスは、更なるデザインの多様化や、環境配慮型車両への対応などが期待されます。地域活性化や観光振興に貢献するだけでなく、人々の心を掴む魅力的な存在として、その進化は今後も続くでしょう。

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