フィリップ・セガン

フィリップ・セガン（Philippe Séguin、1943年4月21日 - 2010年1月7日）は、フランスの政治家であり、フランス会計検査院院長を務めました。

生い立ちと初期の経歴

セガンはフランス領チュニジアのチュニスで生まれ、幼少期に父を亡くし、チュニジア独立に伴いフランス本土へ引き揚げました。エクス＝アン＝プロヴァンス政治学院、そしてフランス国立行政学院を上位の成績で卒業後、会計検査官となります。その後、政治家を志し、ド・ゴール派に所属しました。

政治家としてのキャリア

1978年、ヴォージュ県選出の下院国民議会議員に初当選を果たし、政界でのキャリアをスタートさせます。1983年にはエピナル市長に就任し、1997年11月までその職を務めました。1986年には、ジャック・シラク内閣に社会相として入閣しています。

しかし、1992年のマーストリヒト条約を巡り、セガンは条約に反対の立場を明確にし、欧州統合を推進する当時のミッテラン大統領を激しく批判しました。この頃から、セガンは政界内でも独自の路線を歩むようになります。

1993年にはフランス議会下院国民議会議長に選出されました。1995年のフランス大統領選挙では、当初シャルル・パスクワと提携しましたが、最終的にはエドゥアール・バラデュール陣営には参加せず、ジャック・シラクを支持しました。シラクは大統領選に勝利するものの、セガンとシラクの関係は良好とは言えませんでした。セガンは、シラクの側近であるアラン・ジュペやバラデュールが推し進める自由主義経済政策や欧州政策に批判的であり、1997年の総選挙で共和国連合が敗北した際には、シラクのリーダーシップを公然と批判し、両者の対立は決定的となりました。1999年の欧州議会選挙直前には、共和国連合の総裁を辞任しています。後任にはニコラ・サルコジが就任しました。

2001年のパリ市長選挙に立候補しますが、落選。その後、共和国連合とフランス民主連合の一部が合同し、新党である大統領多数連合（後の国民運動連合）を結成した際には、保守と中道の合同を批判し、2002年に政界を引退しました。

引退後は、会計検査院の院長を務めましたが、2010年1月7日に66歳で亡くなりました。

人物像

セガンは、「瞬間湯沸かし器」と称されるほど短気な性格であった一方で、ここぞという時には優しさを見せる人物でもあったと伝えられています。長い政治歴を持ちながらも、閣僚としての経験は一度のみであることなどから、フランス国内では「敗者」というイメージも持たれています。

しかし、その信念を貫く姿勢は、多くの人々に影響を与えました。欧州統合という大きなテーマに対し、国民の意思を尊重すべきと主張し続けたセガンの姿は、今もなお記憶されています。

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