フェニックス・パーク

フェニックス・パーク：ダブリンのオアシス

フェニックス・パークは、アイルランドの首都ダブリンの中心部から西へ約3kmに位置する広大な都市公園です。その面積は707ヘクタールにも及び、周囲長は約11km。ヨーロッパの都市公園としては最大級の規模を誇ります。

公園の概要

公園内は広大な芝生、美しい並木道、緑豊かな森林が広がり、ダマジカが自由に放牧されています。市民や観光客にとって、自然に触れ、リラックスできる貴重な空間となっています。

公園内には、アイルランド大統領公邸「Áras an Uachtaráin」やアメリカ合衆国大使公邸、アイルランド警察本部などの重要な施設も存在します。また、ダブリン動物園やクリケット、ポロの競技場、ウェリントン記念碑（初代ウェリントン公爵アーサー・ウェルズリーを記念するオベリスク）、教皇十字（1979年のヨハネ・パウロ2世の訪問を記念して建てられた）など、様々な見どころがあります。

公園の名前は、アイルランド語で「清水」を意味する「fionn uisce」が変化したものとされています。ジェイムズ・ジョイスの小説『フィネガンズ・ウェイク』にも登場するなど、文化的な側面も持ち合わせています。アイルランド政府は、この公園を世界遺産に登録するよう働きかけています。

歴史

12世紀にノルマン人がダブリンとその周辺地域を征服した後、この地は聖ヨハネ騎士団に与えられました。しかし、ヘンリー8世による修道院の解散に伴い、騎士団は土地を失い、その後、王室の所有に戻りました。

1662年、チャールズ2世の復権に伴い、オーモンド公ジェームズ・バトラーによって王室の狩猟公園として整備されました。キジや野生のシカが生息していたため、周囲は壁で囲まれました。

1745年には、第4代チェスターフィールド伯爵フィリップ・スタンホープによって一般市民に開放され、人々に親しまれる公園となりました。19世紀には、イギリスの環境デザイナー、デシマス・バートンによって公園の公共エリアの全体的な計画が設計され、新たな道やゲートロッジ、植樹などが行われました。

1882年には、フェニックス・パーク殺人事件という悲劇も起こりました。アイルランド首席秘書官とアイルランド次官が、アイルランド・ナショナル・インビンシブルズと呼ばれる反乱組織によって刺殺されました。

第二次世界大戦中のアイルランド非常事態の間には、公園内の主要道路沿いに大量の芝が保管されるなど、有事の際の資源供給地としての役割も担いました。

公園内の施設

大統領公邸

1754年に建てられた「Áras an Uachtaráin」は、アイルランド大統領の公邸として使用されています。以前は、アイルランド総督の公邸として使用されていました。

ダブリン動物園

ダブリン動物園は、世界中の700種以上の動物や熱帯の鳥類を飼育しており、ダブリンの主要な観光名所の一つです。1830年に設立され、世界で3番目に古い動物園です。

教皇十字架

1979年の教皇ヨハネ・パウロ2世のアイルランド訪問を記念して建てられた教皇十字架は、高さ35メートルの白いラテン十字で、多くの信者が訪れる場所となっています。

ウェリントン記念碑

ウェリントン公爵アーサー・ウェルズリーの勝利を記念した高さ62メートルのオベリスクは、ヨーロッパ最大のオベリスクであり、公園のシンボルとなっています。

アシュタウン城

15世紀に建てられたアシュタウン城は、公園内で最も古い建物であり、ビジターセンターとして、公園と地域の歴史を紹介しています。

ピープルズ・ガーデン

パークゲート通りの出入り口付近にあるピープルズ・ガーデンは、ヴィクトリア朝の園芸技術が展示された美しい庭園で、市民の憩いの場となっています。

環境

フェニックス・パークには、351種の植物が生息しており、その中には希少な種も含まれています。また、1660年代に導入されたダマジカは、現在も400～450頭が生息しています。公園の約30％は樹木で覆われており、豊かな自然が保たれています。

イベント

フェニックス・パークでは、モーターレースやコンサート、展示会など、様々なイベントが開催されています。特に、日本文化を紹介する「エクスペリエンス・ジャパン」は、多くの人々が訪れる人気のイベントです。

フェニックス・パークは、ダブリン市民にとってかけがえのない存在であり、アイルランドの歴史と文化、自然が融合した貴重な場所です。

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