フェネチルアミン

フェネチルアミン：その構造、誘導体、薬理作用

フェネチルアミンは、アルカロイドに分類される有機化合物であり、別名フェニルエチルアミンとも呼ばれます。多くのフェネチルアミン誘導体は向精神作用を持ち、ヒトの脳内では神経修飾物質や神経伝達物質として機能します。

フェネチルアミンの基本

フェネチルアミンは無色の液体で、空気中の二酸化炭素と反応して炭酸塩を生成します。天然には、アミノ酸の一種であるフェニルアラニンが酵素によって脱炭酸されることで生成されます。また、チョコレートなどの発酵食品にも含まれています。大量に摂取すると向精神薬のような効果があると言われることもありますが、モノアミン酸化酵素によって速やかに代謝されるため、脳内に高濃度で蓄積されることはありません。

フェネチルアミン誘導体

フェネチルアミン誘導体は、フェネチルアミンの基本構造に化学的な修飾を加えた化合物の総称です。これらの誘導体は、神経伝達物質、ホルモン、覚醒剤、幻覚剤、エンタクトゲン、食欲抑制剤、気管支拡張薬、抗うつ薬など、多岐にわたる薬理作用を示します。フェネチルアミン骨格は、LSDのエルゴリン環やモルヒネのモルフィナン環といった、複雑な化合物の部分構造としても見られます。

代表的なフェネチルアミン誘導体

フェネチルアミン誘導体は、フェニル基、側鎖、アミノ基に様々な化学修飾が加えられたものが知られています。

アンフェタミン: フェネチルアミンの類縁体であり、側鎖にα-メチル基を持ちます。さらに窒素がメチル化されるとメタンフェタミンになります。
カテコールアミン: フェニル基の3位と4位にヒドロキシル基を持つフェネチルアミン誘導体です。レボドパ、ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリンなどが含まれます。
芳香族アミノ酸: フェニルアラニンやチロシンはα位にカルボキシル基を持つフェネチルアミン誘導体です。

薬理作用

フェネチルアミン誘導体の多くは、モノアミン神経伝達物質と構造が類似しているため、薬理活性を持ちます。

覚醒剤: アドレナリン、カチノン、アンフェタミン、メチルフェニデートなどが挙げられます。
幻覚剤: メスカリン、2C-Bなどが知られています。
エンパソーゲン・エンタコーゲン: MDMA（エクスタシー）、MDAなどが該当します。
食欲抑制剤: フェンテルミン、フェンフルラミン、アンフェタミンなどが用いられます。
気管支拡張薬: サルブタモール、エフェドリンなどが使用されます。
* 抗うつ薬: ブプロピオン、フェネルジン、トラニルシプロミンなどがあります。

アレクサンダー・シュルギンはフェネチルアミン類の研究に大きく貢献し、彼の研究は著書『ピーカル』にまとめられています。

フェネチルアミンとその誘導体は、その多様な薬理作用から、医療や研究において重要な役割を果たしています。

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