フォルバン級駆逐艦

フォルバン級駆逐艦：フランス海軍の防空盾

フランス海軍のフォルバン級駆逐艦は、イタリアとの共同開発によって生まれた、最新鋭の防空フリゲートです。その起源は、1980年代後半にNATO加盟国8カ国で開始されたNFR-90構想に遡ります。しかし、各国間の要求事項の相違により計画は頓挫。その後、イギリス、フランス、イタリアの3カ国による「ホライズン計画」へと発展し、フォルバン級はその成果として誕生しました。

ホライズン計画：国際協力と技術革新

ホライズン計画では、各国が独自の艦対空ミサイルシステムを採用しつつ、共通の船体設計を用いることが目指されました。しかし、計画の過程でイギリスが脱退。最終的にはフランスとイタリアの2カ国体制で進められ、フォルバン級とイタリアの同型艦が完成しました。この計画を通じて、PAAMS（PAAms）と呼ばれる先進的な艦対空ミサイルシステムが共同開発され、フォルバン級の防空能力の基盤となっています。

ステルス性と高性能：艦船の設計と性能

フォルバン級は、レーダー反射断面積（RCS）や赤外線輻射、水中放射雑音などを低減するステルス技術を採用した、高度なステルス艦です。船型は長船首楼型を採用し、敵からの探知を回避する能力を高めています。推進方式にはCODOG方式（ディーゼルエンジンとガスタービンエンジンの併用）を採用し、長時間の巡航と高速時の機動性を両立させています。バウスラスターやフィンスタビライザーも装備し、精密な操艦能力を誇ります。

充実したセンサーとC4ISRシステム：情報収集と統合運用

フォルバン級は、EMPAR多機能レーダー、DRBV-27早期警戒レーダー、UMS-4110CLソナーなど、多様なセンサーを搭載し、広範囲の状況把握を可能にしています。これらのセンサーから得られた情報は、SEIC戦術情報処理装置によって統合され、PAAMS武器システムを含む全武装の運用を統制します。また、リンク11、14、16、22などの戦術データリンクに対応し、他の艦艇や航空機との連携を強化しています。衛星通信システムも備え、OPSMER指揮支援システムと連携した運用も可能です。

圧倒的な火力：搭載兵器と防御システム

フォルバン級の主兵装は、[PAAMS]システムによるアスター艦対空ミサイルです。長射程型のアスター30と中射程型のアスター15を48セルのシルヴァーA50 VLSに搭載し、広範囲からのミサイル攻撃に対処できます。近接防空にはミストラル艦対空ミサイルの搭載スペースも確保されています。対艦攻撃にはエグゾセMM40艦対艦ミサイル、対潜攻撃にはMU90短魚雷を使用します。また、76mm単装速射砲や20mm単装機銃、SLAT対魚雷防御システムなども備えています。ヘリコプター甲板にはNFH90哨戒ヘリコプターを搭載でき、広範囲にわたる警戒監視能力を発揮します。

フォルバン級の建造と運用

2000年10月に2隻の建造が開始され、その後3番艦の建造予算も承認されましたが、フランス海軍はより新しい設計のFREMM計画艦（アキテーヌ級）を要望し、3、4番艦の建造は中止されました。現在、2隻のフォルバン級がフランス海軍で運用されています。

まとめ：フランス海軍の未来を担う防空戦力

フォルバン級駆逐艦は、ステルス性、高性能なセンサー、強力な武器システムを統合した、現代の防空フリゲートの理想形と言えるでしょう。フランス海軍の防空能力の中核として、今後長くその役割を果たしていくものと期待されています。その技術と性能は、今後の艦船開発にも大きな影響を与えるでしょう。

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