フランチェスカ・ルブラン

フランチェスカ・ルブラン、あるいはフランツィスカ・ドロテーア・ルブラン＝ダンツィとして知られるこの女性は、18世紀後半のヨーロッパにおいて、傑出したソプラノ歌手として、また数少ない女性作曲家の一人として名を馳せました。1756年3月24日にドイツのマンハイムで生を受け、1791年5月14日にベルリンでわずか35歳の生涯を終えています。

彼女は音楽を家業とする環境に育ちました。父インノチェンツ・ダンツィはマンハイム宮廷楽団の首席チェリスト、母バルバラ・トエスキは舞踏家でした。さらに、後に著名なチェリストとなる弟フランツ・ダンツィ、ヴァイオリニストの弟ヨハン・バプティスト・ダンツィなど、家族全体が音楽に深く関わっていました。

公式な歌手としてのキャリアは16歳でスタートし、その翌年にはマンハイム宮廷歌劇場と契約を結びました。彼女が初めてオペラの舞台に立ったのは1772年のことですが、それがフロリアン・レオポルト・ガスマンの作品であったのか、あるいはアントニオ・サッキーニの作品であったのかについては、今も歴史家の間で意見が分かれています。マンハイム宮廷歌劇場での4年間で、ルブランは多くの新作オペラの初演に携わりました。特に、1775年にシュヴェツィンゲンで初演されたシュヴァイツァーのオペラ《アルチェステ》でのパルテニア役や、1777年のホルツバウアーの《ギュンター・フォン・シュヴァルツブルク》におけるアンナ役はよく知られています。後者は、フランチェスカの声の特性に合わせて作曲されたと言われています。

ルブランは、その並外れた歌唱力と器用さにより、同時代の著名な作曲家たちから高く評価されました。イグナツ・ホルツバウアー、アントン・シュヴァイツァー、アントニオ・サリエリといった作曲家たちは、彼女を念頭に置いて、非常に技巧的な主役パートを創作しました。彼女の評判は瞬く間に広がり、21歳でロンドンに招かれ、ヨハン・クリスティアン・バッハやサッキーニのオペラに出演し、成功を収めました。

1778年、彼女はマンハイム宮廷楽団のオーボエ奏者であり作曲家でもあったルートヴィヒ・アウグスト・ルブランと結婚しました。夫婦はすぐに共同での演奏旅行を開始し、同年夏にはイタリア各地を巡演しました。1779年春、パリのコンセール・スピリテュエルでの演奏会では、協奏交響曲の独奏パートにイタリア語の歌詞を付けて歌うという異例の試みを行い、聴衆を驚かせました。

彼女の多才さは歌唱だけに留まらず、クラヴィーア奏者としても才能を発揮し、作曲活動も行いました。6曲のヴァイオリン・ソナタやピアノ三重奏曲など、器楽曲作品を残しており、1780年にはヴァイオリン伴奏付きのピアノ曲集を出版しています。18世紀における数少ない女性作曲家として、彼女の作品は今日、再評価の動きが見られます。

ヨーロッパ各地の主要な歌劇場や演奏会場で喝采を浴びましたが、中でもイングランド、ドイツ、イタリアでの人気は特筆されました。特に有名な出来事としては、1778年8月3日にミラノ・スカラ座がオープンした際のこけら落とし公演、サリエリのオペラ《エウローパの承認》で主役を務めたことが挙げられます。1779年から1781年にかけては夫と共にロンドンに滞在し、名高いキングスシアターに出演しました。この時期、著名なイギリスの画家トマス・ゲインズバラによって彼女の肖像画が描かれたことは、その名声の高さを物語っています。

ルブランは家庭にも恵まれ、ロンドン滞在中の1781年6月に長女ゾフィーを、1783年にはミュンヘンで次女ロジーネを出産し、公私ともに充実した日々を送りました。1785年には夫と再びヨーロッパ各地への演奏旅行を開始し、ナポリやベルリンなどで公演を行いました。しかし、ロンドン滞在中に夫ルートヴィヒが急死するという悲劇に見舞われます。この夫の突然の死からわずか5ヶ月後、フランチェスカ自身も35歳という若さで、ベルリンにてこの世を去りました。夫の死後、彼女が舞台に立ったのはわずか2回だけだったと言われています。

彼女の早逝は惜しまれましたが、音楽への才能は娘たちにしっかりと受け継がれました。長女ゾフィー・デュルケン（1781年頃生）はピアニストおよび作曲家として、次女ロジーネ・ルブラン（1783年頃生）はミュンヘンでオペラ歌手および女優として成功を収めました。さらに、ゾフィーの娘たちや孫娘たちも音楽家となり、フランチェスカ・ルブラン＝ダンツィの音楽的遺産は、後の世代まで脈々と引き継がれていったのです。

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