フリードリヒ1世 (ザクセン選帝侯)

フリードリヒ1世（Friedrich I., 1370年4月11日 - 1428年1月4日）は、中世後期に活躍したマイセン辺境伯であり、後にザクセン選帝侯となった人物です。「好戦公（der Streitbare）」の異名を持ち、その生涯は戦乱と政治的駆け引きに彩られています。父はマイセン辺境伯フリードリヒ3世（厳格伯）、母はカテリーナ・フォン・ヘンネベルクでした。

生涯

1407年、叔父のヴィルヘルム1世が死去したことを受け、弟のヴィルヘルム2世、従弟のテューリンゲン方伯フリードリヒ4世と共にマイセンを統治しました。当時のヨーロッパは、各地で紛争が頻発しており、フリードリヒ1世もその渦中に身を置くことになります。

彼は、ニュルンベルク城伯フリードリヒ6世と共にドイツ騎士団に加担し、ポーランド王兼リトアニア大公ヴワディスワフ2世と戦いました（リトアニアの内戦）。また、神聖ローマ皇帝位を巡る内乱においては、プファルツ選帝侯ループレヒト3世を支援しましたが、1410年にループレヒト3世が死去した後は、ジギスムントに鞍替えし、フス戦争に参戦しました。

1423年、アスカーニエン家の断絶後、ザクセン＝ヴィッテンベルク公位を授与され、ザクセン選帝侯に選出されました。これにより、フリードリヒ1世は名実ともにザクセンの支配者となります。その後も、ジギスムントに従軍し、1426年にフス派に大敗するまで支援を続けました。1425年にヴィルヘルム2世が死去したことで、テューリンゲンを除いて単独の領主となりましたが、1428年にアルテンブルクで亡くなりました。遺体はマイセンの大聖堂に埋葬されています。

ライプツィヒ大学の創立

フリードリヒ1世の功績として特筆すべきは、1409年にライプツィヒ大学を創立したことです。当時、フス派との対立によりボヘミアを去ったドイツ人のために設立されたこの大学は、ハイデルベルク大学に次いで2番目に古いドイツの大学として、現在も存続しています。ライプツィヒ大学は、中世以来、学術研究の中心地として発展し、多くの著名な学者や思想家を輩出してきました。

家族

1402年、ブラウンシュヴァイク＝リューネブルク公ハインリヒ1世の娘カタリーナと結婚し、多くの子を儲けました。以下に主な子供たちを列挙します。

カタリーナ
フリードリヒ2世（1412年 - 1464年）
ジギスムント（1416年 - 1471年） - ヴュルツブルク司教。
アンナ（1420年 - 1462年） - ヘッセン方伯ルートヴィヒ1世と結婚。
カタリーナ（1421年? - 1476年） - ブランデンブルク選帝侯フリードリヒ2世と結婚。
ハインリヒ（1422年 - 1435年）
* ヴィルヘルム3世（1425年 - 1482年） - テューリンゲン方伯、名目上のルクセンブルク公も兼ねた。

フリードリヒ1世は、激動の時代を生き抜き、領土の拡大、大学の創立など、様々な功績を残しました。その生涯は、中世から近世への移行期における領主のあり方を象徴していると言えるでしょう。

もう一度検索