ブラジル社会民主党

ブラジル社会民主党（PSDB）

ブラジル社会民主党（ポルトガル語: Partido da Social Democracia Brasileira、略称: PSDB）は、ブラジルにおける主要な政党の一つです。労働者党（PT）と並び、ブラジルの政治を二分する勢力として知られています。一般的に中道右派に位置づけられています。

歴史

創設の背景

1988年、ブラジル民主運動党（PMDB）の左派グループが分裂する形でPSDBは誕生しました。その設立理念は、「民主主義」と「社会正義」を両立させ、過去の軍事政権や急進的な左派とは異なる道を歩むことでした。社会民主主義者、社会自由主義者、キリスト教民主主義者、民主社会主義者など、幅広い思想を持つ人々を結集することを目指しました。また、穏健な労働運動からの支持も受けました。

カルドーゾ政権

1994年、PSDBはフェルナンド・エンリケ・カルドーゾを大統領に当選させました。カルドーゾは従属理論の研究者としても知られていました。1998年の大統領選挙でも再選を果たし、政権を維持しました。カルドーゾ政権下では、他の中南米諸国と同様に、規制緩和や民営化といった新自由主義的な改革が推し進められました。外交面では、アメリカ合衆国との協調路線を取りました。

しかし、これらの新自由主義改革は、格差の拡大と固定化を招き、国民の不満を高めました。その結果、2002年の大統領選挙では、左派政党である労働者党のルーラに政権を奪われ、PSDBは野党に転落しました。

現状

現在、PSDBは社会民主主義や第三の道を標榜する中道または中道左派の政党とされています。しかし、実際の政策には市場経済を重視する新自由主義の影響が強く、規制緩和や外国資本の積極的な導入を主張しています。国営企業や公的企業の民営化も積極的に推進してきました。支持基盤は、都市部に住む富裕層や中間層が中心であり、財界や国際金融資本からの支持も厚いです。

社会主義インターナショナルには加盟しておらず、キリスト教民主主義を軸とする中道民主インターナショナルのアメリカ組織であるアメリカ・キリスト教民主機構にオブザーバー参加しています。外交面では、親米的な姿勢や保守主義的な傾向が強く、党名とは裏腹に、実際には中道右派政党と見なされることが多いです。2002年から政権を担っている労働者党とは、あらゆる面で対立関係にあり、2014年以降に頻発しているブラジル反政府運動の中心的な役割を担っています。

近年の選挙結果

2010年の大統領選挙では、ジョゼ・セラ前サンパウロ州知事を擁立し、政権奪還を目指しましたが、労働者党のジルマ・ルセフに敗れました。

2014年の大統領選挙では、ブラジル経済の低迷によって支持率が低下していたルセフ大統領に対し、アエシオ・ネーヴェス上院議員を擁立し、決選投票まで進出しましたが、僅差で敗れ、政権奪還はなりませんでした。

議会における勢力

ブラジルの国会にあたる国民会議では、連邦議会下院で13議席（513議席中）、連邦議会上院で4議席（81議席中）を有しています（2023年1月現在）。議員の中には、過去のブラジル帝国を称揚し、皇位の復活を支持する者もいます。

関連項目

ロマーリオ - 元サッカーブラジル代表で社会民主党所属の国会議員。

外部リンク

Partido da Social Democracia Brasileira（ブラジル社会民主党） 公式ホームページ （ポルトガル語）

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