ブラックバーン ロック

ブラックバーン ロック (Blackburn Roc) について

ブラックバーン ロックは、イギリス海軍の艦隊航空隊（FAA）によって運用された特異なデザインの単発レシプロ複座単翼戦闘機です。この機体は、ブラックバーン社によって設計された急降下爆撃機「ブラックバーン スクア」の派生型であり、特徴的な旋回式銃座とその装備が注目されます。具体的には、後方に4挺の7.7mm機銃を搭載しており、敵航空機への効果的な迎撃を目的としていました。

背景と開発

イギリス海軍では、敵の雷撃機に対抗するための艦上戦闘機を求めていました。この要求に応えたのが、ボールトンポール社製のデファイアントでしたが、貴重なマーリンエンジンをイギリス空軍から確保することができず、代替としてブラックバーン社が開発したブラックバーン スクアを基にしたロックが選ばれました。ロックの設計では、前方に固定武装を持たず、全ての武装を旋回銃座に集中させた形状が採用されました。このようなデザインは、戦闘機の速度向上を背景に、射撃の時間を長く取りやすいという考慮があったとされています。

1937年4月27日、イギリス海軍はロックを136機発注しました。原型機の飛行は1938年に行われ、当時の技術と期待を反映したモデルでありました。この機体は、イギリス海軍の方針に沿って、スクアとの混成編隊での運用が計画されていました。

性能と運用

ロックの試験飛行は1938年12月23日に開始されました。後部銃座の搭載による急降下性能への影響は懸念されていましたが、大きな問題は見られず、運用における信頼性も一定の評価を受けていました。ただし、高高度性能については若干の課題があり、速度面でもスクアと比べて遅く、改善策が試みられましたが結果には繋がりませんでした。1940年には初の部隊配備が始まり、ロックは第800飛行隊と第803海軍飛行隊に配備されましたが、その後の防空任務では実際の性能不足が指摘され、不満の声が上がりました。

戦歴と転換

1940年のノルウェー作戦では、ロックが空母アークロイヤルに搭載され、艦隊上空の戦闘哨戒任務に使われましたが、ドイツ機に対抗するには不十分とされ、得られた戦果も限られたものでした。夏のダイナモ作戦などにも参加し、唯一の撃墜戦果を挙げることもありましたが、航空救難任務や標的曳航任務に配置換えされ、1943年には退役しました。

その後も一部機体は対空機銃として使用されましたが、性能が低下し、全体的な配備は1943年夏には終了しました。ロックの設計が複座機であるため、操縦士と銃手の役割分担が困難であり、そのことも戦闘機としての効果を減少させる要因となったとされています。

終幕と評価

結果として、ロックはその数と任務の多様性にもかかわらず、性能上の問題から主力として運用されることはなくなり、優れた特性を持つ他の戦闘機、フェアリー フルマーに取って代わられました。最終的に、ブラックバーン ロックは特別な役割を果たすこととなりましたが、その使用は限られ、戦争の潮流に逆らうことはできなかったのです。総生産数136機の内、派生型は存在せず、特異なデザインのこの機体は戦争の一部としての役割を果たしつつ、長い歴史の中で数多くの教訓を残しました。

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