ブラック・ダイク・バンド

ブラック・ダイク・バンド：輝かしい歴史と音楽の軌跡

ブラック・ダイク・バンドは、1855年にイギリスで創設されたブラスバンドです。当初はブラック・ダイク・ミルズ・バンドという名称で、紡績工場の従業員を中心に結成されました。その長い歴史の中で数々の賞を受賞し、世界的に名を知られる存在となりました。

歴史

1816年、ピーター・ワートンによってクイーンズヘッド村（現在のクイーンズベリー村）にウィンドバンドが設立されました。このバンドには、ブラック・ダイク紡績工場のオーナー、ジョン・フォスターもフレンチホルン奏者として参加していました。しかし、バンドは人数が減少し、1837年に再設立されるも運営が困難になりました。そこでフォスターは、工場内に練習室を設け、楽器を揃え、従業員から金管・打楽器奏者を集め、1855年9月に19人のメンバーでブラック・ダイク・ミルズ・バンドを立ち上げました。このバンドは地域社会との結びつきを強く持ち、活動を始めました。

創設から10ヶ月後の1856年7月には、早くもハルで行われたコンテストで2位に入賞。翌1857年には、ハリファックスとバトリーのコンテストでそれぞれ優勝と2位を獲得し、その実力を示しました。

メディアへの露出

1903年には初の録音を行い、グラモフォン型とエジソン・シリンダー型のレコードが発売されました。また、1925年にはBBCのラジオ番組で1時間の演奏を全英に向けて放送し、その音楽を広く届けました。

組織転換

1993年には、バンドの運営を活性化するため「ブラック・ダイク・ミルズ・バンド友の会」を設立し、一般からの支援を募るようになりました。1994年には、経済的支援をブラッドフォード・アンド・ビングレー住宅金融組合が担当することになりました。しかし、1996年にブラック・ダイク紡績工場の経営が悪化したため、バンドの運営は危機に直面。そこで、7人の会員で構成される運営協会を設立し、バンドの施設や資産を買い取り、名称から「ミルズ」を外して「ブラック・ダイク・バンド」としました。その後もブラッドフォード・アンド・ビングリーはスポンサーとして支援を続けています。バンドは設立以来、専用の練習室を常に確保し、活動を継続しています。

演奏会

設立以来、精力的な演奏活動を続けており、1897年には100回以上のコンサートを開催。第二次世界大戦後には、ヨーロッパ、北米、日本など世界各地でツアーを行っています。2009年にはシドニーのオペラハウスでの演奏会を実現させ、1984年、1990年、2016年、2017年には日本での公演も行いました。2019年には2年ぶりの来日を果たしています。

コンテスト

ブラック・ダイク・バンドは、ヨークシャー地区、ヨーロッパ、ブリティッシュ・オープン、全英の4つの主要大会すべてで優勝する「グランドスラム」を達成した史上初のバンドです。また、BBCの「バンド・オブ・ザ・イヤー」にも選ばれています。ヨーロッパ選手権で13回、全英ブラスバンド選手権で24回、ブリティッシュ・オープンで30回という、各大会で最多の優勝回数を誇ります。

録音

クラシック音楽からポップスまで幅広いジャンルで多くの録音を行っており、トロンボーン奏者のダグラス・ヤオとの共演や、トーリ・エイモス、ピーター・ガブリエル、ザ・ビューティフル・サウスとのコラボレーションも実現しています。

ビートルズとの関係

1968年には、ビートルズのレーベル「アップル・レコード」からシングル盤を発売しました。A面にはレノン＝マッカートニー作曲の「Thingumybob」、B面には「イエロー・サブマリン」の金管バンド版が収録されました。このシングルは、アップル・レコードが最初に発売した4枚のうちの1枚です。1979年には、マッカートニーのバンド「ウイングス」のアルバム『バック・トゥ・ジ・エッグ』にも参加しています。

メンバー

音楽監督兼首席指揮者はニコラス・チャイルズ博士が務めています。

各パートの首席奏者は以下の通りです。
ソプラノ・コルネット：マーティン・アーウィン
コルネット：リチャード・マーシャル
フリューゲルホルン：ゾーイ・ハンコック
テナーホルン：シボーン・ベイツ
バリトン：カトリーナ・マーゼラ
トロンボーン：ブレット・ベイカー
バス・トロンボーン：エイドリアン・ハースト
ユーフォニアム：ダニエル・トーマス
E♭バス：ハリー・カニンガム
B♭バス：マシュー・ラウトリー
パーカッション：エイドリアン・スミス

また、元首席打楽器奏者のポール・ロヴァット＝クーパーが提携作曲家を務めています。

その他

バンドのモットーは「JUSTUM PERFICITO NIHIL TIMETO」（何をも恐れず、正しい行いをせよ）です。現在の首席指揮者はニコラス・チャイルズ博士で、王立ノーザン音楽大学の金管バンドの指揮者も務めています。その輝かしい成績から、ギネスブックに「世界で最も成功したバンド」として登録されています。

脚注

詳細は以下の書籍を参照してください。
Newsome, Roy (2005). 150 Golden Years: The History of Black Dyke Band. London: World Brass. ISBN 0854127410

外部リンク

* The Black Dyke Mills Band - Apple Record：アップル・レコードのサイトでの紹介ページ。バンドのメンバーがポール・マッカートニーを囲んでいる写真があります。

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