ブンチャー

ブンチャー：ハノイの美味しい名物料理

ブンチャー（Bún chả）は、ベトナムの首都ハノイに起源を持つ、焼き豚肉と米の細いヌードルで構成された料理です。この料理はしばしば「ベトナムのサラダ素麺」と称されることもあります。料理のスタイルから、おいしさと健康的な食材が融合していることがうかがえます。

材料と特徴

ブンチャーの主な材料には、豚肉や米粉で作られたビーフンがあります。通常、挽肉を使ったミートボールや、豚のお腹の部分や肩肉が使われます。ブンチャーに用いるビーフンは、ベトナムを代表するライスヌードル、フォーの麺よりもしっとりとしています。

この料理の特徴は、甘味、辛味、酸味が調和したつけだれにあります。つけだれは、ヌクマム（魚醤）、砂糖、レモン、酢、スープストック、つぶしたニンニク、唐辛子を組み合わせて作られます。基本的に、麺とスープはそれぞれ別の皿で提供され、食べる際に自分の好みに応じてハーブや野菜をトッピングします。これにより、一皿の中でさまざまな食感と風味を楽しむことができます。

付け合わせとトッピング

食べる際には、新鮮なハーブや野菜がトッピングとして添えられます。たとえば、青パパイアやニンジン、タマネギといった漬物や、生のキャベツ、バジル、シソクサ、スプラウト、ナギナタコウジュ、パクチーなどが使われます。また、揚げ春巻きなどを加えることで、食事のバリエーションを広げることも可能です。さらに、つぶしたニンニクや唐辛子、酢、胡椒、スライスしたライムなどの調味料が付け合わせとして用意されることもあります。

ハノイの文化とブンチャー

ブンチャーは「ベトナムの国民食」と呼ばれる一方で、ハノイの名物料理とされています。特に正午の昼食として食べられることが一般的で、これはハノイ特有の食文化を反映しています。夜に食べることもあり、幅広い世代に愛されています。

ハノイのブンチャーレストランの中で、最も初期の店舗は旧市街のホアンキエム区のザーグーにあったとされており、お手頃な価格で提供されています。2016年には、1杯あたりおおよそ5万～6万ドン（約250～300円）程度で販売されていました。

特に有名なのは、ハノイにあるフオンリエンという店で、2016年に当時のアメリカ合衆国大統領バラク・オバマが来店し、シェフのアンソニー・ボーディンと共にブンチャーを食べたことで、世界中に名を馳せました。この訪問以降、ハノイではブンチャーを提供する店舗が増加し、人気を博しています。

さらに、2019年に行われた米朝首脳会談の際にも、ブンチャーがフォーと共にメディアセンターの料理として提供されるなど、国際的な舞台でもその名が知られるようになっています。

ブンチャーは、ベトナムの風味豊かな料理を楽しむ際に、ぜひ一度味わってみたい逸品であり、ハノイを訪れる際には欠かせない食体験の一つとなっています。

もう一度検索